1999 Fiscal Year Annual Research Report
栄養によるニワトリのインスリン様成長因子結合蛋白質遺伝子発現の制御
Project/Area Number |
11660282
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
喜多 一美 名古屋大学, 農学部, 助教授 (20221913)
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Keywords | ニワトリ / 飼料蛋白質 / 大豆抽出蛋白質 / カゼイン / インスリン様成長因子 / インスリン様成長因子結合蛋白質 / 筋胃 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
動物の成長に不可欠なインスリン様成長因子-I(IGF-I)は、血中においてIGF結合蛋白質(IGFBP)と呼ばれる蛋白質と結合しており、IGFBPはIGFと結合することによりその働きを制御していると考えられている。しかしながら、ニワトリのIGFBPと栄養との関係については不明な点が多い。平成11年度では、栄養条件の違い、特に飼料蛋白質の量的および質的違いがニワトリのIGFBP-2の遺伝子発現および血中IGF-I濃度にどの様な影響をおよぼすのか調査した。方法としては、5週齢の単冠白色レグホーン種雄25羽を5羽ずつ5群に分け、実験飼料を7日間自由摂取させた。実験飼料は、1)大豆抽出蛋白質+制限アミノ酸(CP20%)、2)大豆抽出蛋白質(CP20%)、3)大豆抽出蛋白質+制限アミノ酸(CP5%)、4)ガゼイン+制限アミノ酸(CP20%)、5)カゼイン(CP20%)の5種類を用意した。実験終了時に、筋胃および血液を採取した。血漿中のIGF-I濃度をラジ**ムノアッセイにより測定し、筋胃のIGFBP-2mRNA量をノーザンハイブリダイゼーション法により測定した。制限アミノ酸無添加大豆抽出蛋白質飼料区の血漿中IGF-I濃度は、制限アミノ酸を添加した大豆抽出蛋白質飼料区より有意に低くなった。大豆抽出蛋白質を蛋白質源とした低蛋白質飼料(CP5%)を給与することにより、血漿中IGF-I濃度は最も低い値を示し、CP20%飼料を給与したときの約40%まで低下した。制限アミノ酸無添加カゼイン飼料区の血漿中IGF-I濃度は、制限アミノ酸を添加したカゼイン飼料区より低くなる傾向を示した。筋胃のIGFBP-2mRNA量は、制限アミノ酸を添加した大豆抽出蛋白質飼料を給与したときのみ有意に低くなった。以上の結果より、血漿中IGF-I濃度および筋胃のIGFBP-2mRNA量は飼料蛋白質の質的および量的違いにより影響を受けることが明らかになった。
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