1999 Fiscal Year Annual Research Report
分子生態学的手法による反すう動物ルーメン細菌群の動態解析
Project/Area Number |
11660284
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小林 泰男 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (50153648)
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Keywords | ルーメン / 繊維分解菌 / 競合PCR / ヒツジ / DNA抽出 / 定量 / 特異プライマー / 付着 |
Research Abstract |
反すう動物ルーメン内でメジャーな繊維分解菌である3菌種(Fibrobacter succinogenes,Ruminococcus albus,Ruminococcus flavefaciens)の動態解析を目的として競合PCR定量系を開発した。PCRプライマーは16SrDNAの塩基配列中で標的菌種に特異的に存在する領域を利用してデザインした。これらを使用することで、標的菌種の遺伝子のみの増幅が可能であった。それぞれの競合PCR系で用いる競合テンプレートを作成し、未知のサンプルのテンプレートにこれを既知量加えてPCRすることで、間接的に標的菌種のDNAを定量することが可能であった。これらの定量系はきわめて感度が高く(定量下限は純菌レベルで1-30細胞相当)、しかも使用菌(DNA)量に応じて直線的に定量値も変化した。ヒツジルーメン液に既知量の標的菌を加え、総DNAを抽出し、これから得られた定量値も、菌添加量に比例して直線的に増加した。このことから混合菌レベルでも定量性は高いと判断された。定量値の測定間および測定内誤差は8-12%で、再現性にも問題はなかった。これらの定量系を実際のルーメンサンプル中の標的菌動態分析応用したところ、3種のうちF.succinogenesが他の2菌種にくらべ圧倒的に多く、かつこの菌種は粗飼料多給時に有意に増加した。またルーメン液にセルロースパウダーを添加・保温したところ、この菌種のセルロースへの付着を本定量系で十分モニターできた。したがって次年度に予定する消化管内での標的菌の動態解析に、これらの分子的定量法はきわめて有用と判断した。
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