2000 Fiscal Year Annual Research Report
反芻動物の成長と食欲調節におけるヒスタミンと神経ペプチド間相互作用の検討
Project/Area Number |
11660285
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
黒瀬 陽平 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (10245392)
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Keywords | グルカゴン様ペプチド1 / ヒスタミン / グルコース / 視床下部 / 採食量 / バイオセンサー |
Research Abstract |
昨年度の試験で、採食抑制作用を有するグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)を中枢投与すると、ヒスタミンが変動することが明らかとなった。ヒスタミンの変動は、神経細胞におけるグルコース利用と関係しているので、GLP-1の中枢作用は、神経細胞のグルコース利用を介しているとの仮説をたて、実験をおこなった。 中枢神経系におけるグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)の採食抑制機序を調べた。GLP-1を絶食ラットの脳に投与したところ、採食量が減少した。GLP-1と2デオキシDグルコース(2DG)を同時投与したところ、GLP-1単独投与の場合と比較して、採食量の減少量が小さくなった。この結果から、GLP-1は神経細胞へのグルコース取り込みを介して採食を抑制することが示唆された。 続いて、GLP-1によるヒスタミンの変動が、神経細胞へのグルコース取り込みによる結果であることを確認するため、視床下部へGLP-1及び2DGを投与すると同時に、ヒスタミンを回収し、その濃度変化を測定した。その結果、GLP-1単独ではヒスタミンが減少したが、2DGと同時投与すると、ヒスタミンの減少が抑制された。 最後に、微量なグルコース濃度変化を測定できるマイクロダイアリシスバイオセンサーを用い、GLP-1投与後の視床下部室傍核内の細胞間隙グルコース濃度変化を測定した。その結果、GLP-1投与後すぐにグルコース濃度が減少した。 以上の結果に基づき、中枢GLP-1による採食抑制作用には、神経細胞におけるグルコース利用(取り込み)が関係していることが示唆された。
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