2000 Fiscal Year Annual Research Report
豚コレラウイルスゲノムの非コード領域の構造解析とその鑑別診断への応用
Project/Area Number |
11660294
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
原澤 亮 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70159101)
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Keywords | 豚コレラ / 回文様塩基置換 / 非コード領域 |
Research Abstract |
本年度は前年度に決定した豚コレラウイルス(CSFV)の塩基配列について、国際的DNAデータバンクに登録されている既知のCSFVのものと比較するとともに、コンピュータを用いて二次構造の自由エネルギー値を計算し、合理的なステム・ループ構造を推定した。申請者のこれまでの調査研究により、RT-PCRにより増幅された本ウイルスの5'端非コード領域には少なくとも3箇の可変領域が、また、3'非コード領域には少なくとも2箇の可変領域が存在し、それぞれの領域に特徴的な二次構造が想定されることが判明している。CSFVではループ領域の配列と長さはウイルス株により一定していないものの、ステム領域の配列はよく保存されており、固有のステム構造を呈することから、可変領域に想定される二次構造のステム領域に相当する回文様配列における点突然変異を比較検討することにより、CSFVの同定を遺伝子型のレベルで行うことができた。その結果、本ウイルスはCSFV-1,CSFV-2,CSFV-3の3型に分けることが適切であるとの結論に至った。これにより豚コレラの鑑別診断が一層精密に行なえるようになった。また、これはそれぞれのウイルス型が病原性とどのように関係するのかという新たな研究課題を提起するものでもあった。なお、型別の基準とした点突然変異を回文様塩基置換(palindromic nucleotide substitution)と命名し、新しい考え方に基づく分類方法として提案した。以上の研究成果は平成12年8月にイタリアで開催された第5回国際獣医ウイルス学会において発表した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Harasawa,R.,Giangaspero,M.,Ibata,G.,Paton,D.J.: "Giraffe strain of postivirus : Its taxonomic status based on the 5'-untranslated region."Microbiol.Immunol.. 44. 915-921 (2000)
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[Publications] Harasawa,R.,Hotzel,H.,Sachse,K.: "Comparison of the 16S-23S rRNA intergenic spacer regions among strains of the Mycoplasma mycoides cluster."Int.J.Syst.Evol.Microbiol.. 50. 1325-1329 (2000)
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[Publications] Matsuda,K.,Li,J.-L.,Ichinose,S.,Harasawa,R.: "Monoclonal antibody against Mycoplasma fermentans-specific aminog lycoglycerolipid."Microbiol.Immunol.. 44. 695-702 (2000)
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[Publications] Nogami,S.,Murasugi,E.,Shimazaki,K.,Maeda,R.,Harasawa,R.: "Quantitative analysis of microfilarial periodicity of Dirofilaria immitis in cats."Vet.Parasitol.. 92. 227-232 (2000)