1999 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラ菌の腸管上皮細胞への接着・侵入に関与する分子およびそのレセプターの同定
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11660305
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
五十君 静信 国立感染症研究所, 食品衛生微生物部, 主任研究官 (70212743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 富美夫 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (90142132)
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Keywords | サルモネラ / Salmonella Enteritidis / 接着因子 / 腸管上皮細胞 / T-84細胞 / Flagellin / IL-8 / 対数増殖期 |
Research Abstract |
Salmonella Enteritidis;SEの対数増殖期と静止期のホルマリン処理菌体をウサギに免疫して得られた抗血清Log-serumとStat-serumを用いて、分化させたヒト由来腸管継代細胞T-84細胞に対するSE#40株の接着阻止を調べた。両抗血清は、対数増殖期のSE#40株の腸管細胞への接着を抑制した。その抑制効果は、Log-serum<Stat-serumであった。SE#40株から抽出したタンパクのWestern blottingでは、それぞれ複数のバンドが認められたが、両抗血清とも86kDa付近のP86タンパクを認識しており、このタンパクがSEの接着に関与するものと思われた。SEの腸管への接着にはFlagellaが関与することが知られており、このP86がその構成タンパクであるFlagellinであるかどうかについては、(1)タンパクのサイズがFlagellinと一致しない(2)Flagellinは、主に静止期に発現するタンパクであるが、P86は、Stat-serumよりもLog-serumに強く反応していた、という2点から、Flagellinとは異なると思われた。そこでN末のアミノ酸の配列を調べたところ、AQVINで、サルモネラのFlagellinと一致した。(1)のサイズの違いは、実験系の違いで納まる程度の違いではあったが、(2)の抗体の認識が逆転している理由は、不明である。両抗血清が認識したP86は、シークエンスからFlagellinであると結論した。そこでSEからFlagellaを分離し、精製したFlagellaをカラムに固定し、Log-serumからFlagella特異的IgGをアフィニティ精製したのち、接着阻止実験を行ったところ、弱い抑制が観察された。しかし、細胞からのIL-8産生には影響を与えなかった。この実験結果と、P84の認識の弱いStat-serumがSEの細胞への接着をより強く抑制したことから、Flagellinとは異なる接着因子の可能性が強く示唆された。そこでStat-serumのみが認識している22kDaのタンパクP22を精製し、このタンパクについてN末の解析とクローニングを試みている。
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[Publications] Amano F.: "Pathogenicity of Salmonella in the resting state"Microbes and Environments. 14. 107-121 (1999)
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[Publications] Amano F.et al.: "Influence of Salmonella growth phases on its pathogenesis in BALB/c mice and in a macrophage culture"Abstracts for scientific sessions 34^<th> Toxic Microorganisms Joint Panel Meeting. 34. 1-1 (1999)
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[Publications] 天野富美夫、唐橋久恵: "サルモネラ(Salmonella typhimurium)の感染によるマクロファージ系細胞株J774.1細胞障害性の誘導機構の研究"BACTERIAL ADHERENCE研究会講演録. 13(in press). (1999)