1999 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙による発癌臓器特異的DNA損傷のマウス多臓器SCG法による検討
Project/Area Number |
11660308
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
津田 修治 岩手大学, 農学部, 助教授 (60281953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 有 八戸工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (20259790)
谷口 和之 岩手大学, 農学部, 教授 (70148089)
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Keywords | 喫煙 / 発癌 / DNA損傷 / マウス / 多臓器 / SCG法 / コメット法 |
Research Abstract |
喫煙は疫学的調査により肺癌の主要原因であると言われている。喫煙はまた腎臓癌の原因とされているが、胃癌と肝癌との因果関係はまだ十分に明らかにされていない。一方、マウス発癌においては、肺が喫煙による明確な標的臓器であり、皮膚・上部消化管・肝がたばこ夕ールの皮膚塗布あるいは経口投与による標的臓器であることが知られている。しかしながら、脳・腎・骨髄の発癌は認められていない。そこで、マウスにおいて、喫煙による遺伝子毒性及びそれらに対するfree radical scavengerの効果をその標的臓器(肺)、疑標的臓器(胃・肝)、非標的臓器(悩・腎・骨髄)についてSCG法(コメット法)を用いて検討した。 「方法」全身暴露型吸入チャンバーに収容した雄マウスに、タバコの煙を1分間1回吸入暴露し、15、30、60、120、240分後に肺・腎・胃・肝・脳・骨髄のDNA一本鎖切断をアルカリSCG法を用いて検索した。またビタミンCとEの喫煙によるマウスDNA損傷に及ぼす効果を検討した。 「結果」6倍希釈のタバコ煙吸入15分後に、DNA損傷が肺・胃・肝に認められた。肺・胃の損傷は60分後に対照値まで回復し、肝では120分後に回復した。腎・脳・骨髄のDNAは損傷を受けなかった。12及び24倍希釈のタバコ煙吸入に依ってはDNA損傷が認められなかった。100mg/kgのビタミンCかEをタバコ煙吸入1時間前に単回経口投与すると、胃・肝のDNA損傷誘発が阻止された、ビタミンEは肺のDNA損傷誘発を抑制したが、ビタミンCには抑制効果が認められなかった。100mg/kg/日のビタミンCかEを5日間連続投与すると、肺・胃・肝のDNA損傷誘発は完全に阻止された。従って、このSCG法は標的臓器の1蔵器、疑標的臓器の2臓器のDNA損傷を検出し、非標的臓器のいずれにもDNA損傷を認めなかった。抗酸化剤がこのDNA損傷を抑制したことはFree radicalがこのDNA損傷の原因であることを示唆しているものと思われる。
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Research Products
(1 results)