2000 Fiscal Year Annual Research Report
循環系機能と神経・免疫系反応の相互作用に関する時間生物学的研究
Project/Area Number |
11660310
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
桑原 正貴 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30205273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
局 博一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30142095)
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Keywords | 心血管系 / 自律神経系 / リポポリサッカライド / 炎症性サイトカイン / テレメトリー / 時間生物学 / 心拍変動解析 / 体温 |
Research Abstract |
近年、生命現象を理解する上で時間の概念を取り入れた時間生物学を基礎として様々な現象を解析することの重要性が高まってきている。循環器系機能やその調節機構として重要な役割を担っている自律神経系機能においても例外ではない。本研究では、1つのモデルとして生体に発熱や炎症性変化を誘発するリポポリサッカライドに対する反応に関して、中枢への情報伝達経路としての神経・免疫系の役割をその時間的な差異と重要性を含めて、循環器系機能に対する影響に関して解明することを目的に実験を行なった。心電図および血圧測定用テレメータ送信機を予め埋め込んだラットを使用し、心拍数、血圧、活動量、および体温に及ぼすリポポリサッカライドの影響に関して数日間に渡って観察した。また、これらの記録を利用して自律神経機能に及ぼす影響を心拍および血圧変動解析を行なうことにより解析した。その結果、リポポリサッカライドの投与により、比較的低濃度から心拍数は増加するが、血圧や体温の反応は投与量によって異なることが明らかとなった。また、心拍数、体温、血圧および活動量に見られる夜行性の日内変動は、リポポリサッカライドの投与により明期と暗期における差が減少するために不明瞭になることが明らかとなった。そして、これらの各指標における日内変動の減少には、自律神経系による調節機能の低下が関与している可能性が示唆された。リポポリサッカライドを高濃度投与することによる、エンドトキシンショック発症時には自律神経系機能が不全になること、一方、エンドドキシントレランスの状態では心血管系および自律神経系機能ともに比較的健全に維持されていることも明らかとなった。また、IL-1ノックアウトマウスと正常マウスを比較することにより、炎症性サイトカインと心血管系および自律神経系機能との関連性に関しても検討を加えた。
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[Publications] Kuwahara,M. et al.: "Influence of training on autonomic nervous function in horse."Equine Veterinary Journal. 30(Suppl). 178-180 (1999)
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[Publications] Kuwahara,M. et al.: "Power spectral analysis of heart rate variability for assessment of diurnal Variation of autonomic nervous activity in miniature swine."Laboratory Animal Science. 49(2). 202-208 (1999)
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[Publications] Hashimoto,M. et al.: "Diurnal variation of autonomic nervous activity in the rat."Journal of Electrocardiology. 32(2). 167-171 (1999)
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[Publications] 桑原正貴: "動物の自律神経機能評価 -心拍変動解析の臨床応用への可能性-"獣医畜産新報. 53(6). 449-455 (2000)
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[Publications] Hagiwara,Y. et al.: "Effects of endotoxin on cardiovascular and autonomic nervous system in rats."Japanese Journal of Electrocardiology. 21(2)(In press). (2001)