1999 Fiscal Year Annual Research Report
海産魚介類の腸炎ビブリオ汚染に及ぼすデロビブリオの影響
Project/Area Number |
11660315
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
熊澤 教眞 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (00039926)
|
Keywords | デロビブリオ / 腸炎ビブリオ / 型別 / 海水 / 漁港 |
Research Abstract |
沖縄県本部町の本部漁港と港外の海岸で海水を採取して実験室に持ち帰り、デロビブリオの分離を行った。孔径5μmのメンブランフィルターで莢雑物を除いた海水500mlを3本の滅菌容器に分注し、これに各々腸炎ビブリオD3株(TDH産生菌、nal-r)、N18株(TDH非産生菌、nal-r)、R13株(TDH非産生菌、rif-r)の新鮮培養菌を10^9〜10^<10>/mlになるように加えて25℃で5〜10日間静置し、デロビブリオを増菌した。腸炎ビブリオの溶菌による検体の濁度低下を肉眼で確認した後、この検体を塩分濃度25‰の人工海水で段階希釈し、増菌に用いたものと同じ腸炎ビブリオ株を10^9〜10^<10>/mlになるように封入した人工海水寒天(腸炎ビブリオ寒天)上に0.1mlづつ塗沫して25℃で培養した。腸炎ビブリオ寒天上に出現したプラークを釣菌して、同じ菌株を封入した腸炎ビブリオ寒天上で純化した。本菌が活発な運動性を有する小桿菌(デロビブリオ)であることを光学顕微鏡下で確認し、90株(漁港内82株、漁港外8株)のデロビブリオを得た。分離したデロビブリオ株に対するTDH産生菌15株、TDH非産生菌5株の感受性をスポット法で検査して感受性スペクトル表を作成した。その結果、デロビブリオは指示菌として使用したTDH産生菌に対する感染性から少なくとも56種類に型別できること、使用したTDH産生菌のすべてがデロビブリオに対する感受性パターンを異にすることが判明した。さらに、本部漁港の海水から分離したデロビブリオCd22株は塩分濃度35〜10‰の人工海水中では安定であるが、5‰以下の塩分濃度では活性が低下することが判明した。このことは、汽水域で増殖した腸炎ビブリオは沿岸海域に流出して海産魚介類を汚染した後、デロビブリオの感染を受けて徐々に死滅するという私の仮説と一致している。
|