2000 Fiscal Year Annual Research Report
海産魚介類の腸炎ビブリオ汚染に及ぼすデロビブリオの影響
Project/Area Number |
11660315
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
熊澤 教眞 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (00039926)
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Keywords | デロビブリオ / 腸炎ビブリオ / カキ / エビ / 保存温度 |
Research Abstract |
沖縄県本部町の渡久地漁港の海水からTDH産生性腸炎ビブリオD3株(nal-r)を指示菌として44株のデロビブリオを分離した。この内、増殖速度の速いYd9-1株を実験に用いた。 広島産冷凍カキとインド産エビ(black tiger)を解凍後二分し、一方にはD3株+Yd9-1株、他方にはD3株を加え、各々5℃、25℃又は25℃12時間後に5℃で保存した。経時的に検体を取り出して乳剤にし、D3株とYd9-1株の菌数を測定した。その結果、カキから検出されるD3株の菌数は、25℃保存検体中では投与後2〜3日は10^5〜10^7cfu/gレベルを保っていたが、その後減少し、7日目までに検出限界以下になった。25℃→5℃保存検体中では4日目まで10^4〜10^6cfu/gレベルを保っていたが、その後徐々に減少し、11日目に検出限界以下になった。5℃保存検体中では投与後7日目まで変化がなかったが、11日目に消失した。Yd9-1株の存在によるD3株の菌数の減少は見られなかった。一方、エビの場合、25℃保存検体中では2日目に10^8〜10^9cfu/gレベルまで増加した後、減少に転じた。Yd9-1株の存在下ではD3株の菌数が10^<-1>/g程度抑制された。25℃→5℃と5℃保存検体ではD3株の変動は見られなかったが、Yd9-1株の存在下では10^<-1>/g程度抑制された。 実験終了後に、今回の実験に用いたカキには高濃度の塩分が含まれていることが判明した。このことから、検体に含まれる高濃度の塩分が菌数の推移に影響していることが予想される。今後は水産食品中における腸炎ビブリオとデロビブリオの相互作用をより詳しく検討する予定である。
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