1999 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースアセテートの生分解性プラスチック材料化に関する研究
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11660321
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉岡 まり子 京都大学, 農学研究科, 助手 (30220594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 信夫 京都大学, 農学研究科, 教授 (70026508)
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Keywords | セルロースジアセテート / ε-カプロラクトン / 2-エチルヘキサン酸スズ(II) / 二軸エクストルーダー / モル置換度 / 開環グラフト重合 / アモルファス / 結晶性高分子 |
Research Abstract |
[試料と方法]幹ポリマーに置換度2.1のセルロースジアセテート(CDA)、内部可塑剤にε-カプロラクトン(CLN)、触媒に2-エチルヘキサン酸スズ(II)を用いて乾燥窒素気流下で開環グラフト重合を行った。反応器はフラスコと二軸エクストルーダーを用いた。反応条件は、フラスコを用いた場合は主として液比4以上、140℃、二軸エクストルーダーを用いた場合は主として液比2以下、160℃とした。反応終了後、生成物を精製し、得られたグラフト物のモル置換度(MS)を測定し、MSの違いによるグラフト物の諸特性を比較、検討した。 [結果と考察]反応器にフラスコと二軸エクストルーダー用い、反応条件を様々に変化させることで、MSが0.2〜30程度までの幅広い特性をもつ試料が得られた。それらの特性はMSが10〜11付近で大きく変化した。すなわちMS>11で熱圧成形シートは白濁し、MS10までは下がる傾向のあった引張強度とヤング率が、MS11以上では再び増加の傾向を示した。これらの特徴はDSCによる熱分析や動的粘弾性の測定により側鎖の結晶化によるものと推察された。これはCLNが1個あたりメチレン基を5個持ち、MSがある程度大きくなると側鎖の疎水的な凝集が生成物中に現れるからであると考えられる。CDAを可塑化するという観点からは、グラフト鎖が短いものでも十分CDAを可塑化することができると言え、特にアモルファスな高分子はグラフト鎖が短いときに生成されることが知られた。アモルファスである場合に幅広い成形加工が可能になるというこれらの結果は、ポリカプロラクトンが結晶性高分子であること、CLNのみからなるグラフト側鎖を導入することによりCDAを可塑化させようとした内部可塑化法をとったことに起因すると考えられる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Febrianto,F.: "Composites of wood and trans-1,4-isoprene rubber I : Mechanical,physical,and flow behavior"Journal of Wood Science. 45巻1号. 38-45 (1999)
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[Publications] 吉岡まり子: "セルロースからの生分解性プラスチックの開発"ウッディエンス(木材学会誌付録). 44巻. 8-10 (1999)
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[Publications] M.Yoshida: "Thermoplasticization of Cellulose acetates by grafting of cyclic esters"Cellulose. 6巻3号. 193-212 (1999)
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[Publications] 吉岡まり子: "セルロースからの生分解性高分子"「第235会木質材料部門委員会定例研究会」講演要旨. 13-22 (1999)
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[Publications] M.Yoshida: "Plasticization of cellulose derivatives by reactive plasticizers II"Journal of Wood Science. 46巻1号. 22-31 (2000)
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[Publications] N.Shiraishi and M.Yoshioka: "International Contributions to Wood Adhesion Research"For.Prod.Soc.U.S.A.,Madison. 148 (1999)
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[Publications] S.Pu: "Adhesive Technology and Bonded Tropical Wood Products"Taiwan Forestry Res.Inst.,Taipei. 629 (1998)
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[Publications] 白石信夫: "日本木材学会第6期研究分科会報告書"木質系プラスチック材料. 574 (1999)