2000 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞の細胞膜における抗原受容体と膜脂質の局在化に関する免疫電顕的解析
Project/Area Number |
11670009
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
藤本 和 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (50159125)
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Keywords | T細胞 / 抗原受容体 / 膜脂質 / 凍結割断レプリカ / 細胞膜 / 免疫電子顕微鏡 |
Research Abstract |
T細胞の膜上には主要組織適合性抗原を認識する受容体が存在しており,T細胞抗原受容体(TCR)と呼ばれている.TCRはαβγδεζ鎖の複合体からなり,αβ鎖は抗原結合部位,γδεζ鎖は細胞内情報伝達系に関与する部位であると考えられている.本研究では,非刺激,αあるいはβサブユニット抗体による架橋刺激(キャッピング誘導刺激),あるいは標的細胞との接触刺激などの状態における細胞障害性T細胞のTCR各サブユニットの動態を凍結割断レプリカ免疫電顕観察によって明らかにするとともに,膜脂質の局在化との関連性を検討する. 本年度は,膜タンパク質分子の局在化にコレステロールやスフィンゴミエリンなどの膜脂質が関係している可能性が示唆されており,また,LckなどのSrcファミリーのPTKsがこれらの脂質分子にアンカーされている可能性が示唆されていることから,TCR複合体の各鎖分子とスフィンゴミエリンの局在の関連性を検討した. スフィンゴミエリンの免疫標識において,免疫金粒子はT細胞膜のEF-面に多く,かつ均一に観察されたが,PF-面では数個から数十個の金粒子が凝集して結合している像が観察された.これらの所見はSMが細胞膜の外葉に主として存在するが,内葉ではスフィンゴミエリンがクラスターを形成して存在していることを示唆した.さらに,TCRのζ鎖分子がスフィンゴミエリンのクラスラ-領域とよく一致した分布をしていることが分かった.
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[Publications] Asai,K.,Fujimoto,K. et al.: "Distinct aggregation of β and γ chains of the high-affinity IgE receptor upon cross-linking."J.Histochem.Cytochem.. 48・12. 1705-1715 (2000)
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[Publications] 藤本和: "急速ディープエッチングとレプリカ免疫標識"電子顕微鏡. 35・2. 129-131 (2000)
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[Publications] 藤本和: "電子顕微鏡基礎技術と応用2000"電顕サマースクール実行委員会編(分担). 8 (2000)