1999 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球のリンパ節高内皮細静脈血管壁選択的通過機構の解明
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11670012
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
菊田 彰夫 産業医科大学, 医学部, 教授 (10116452)
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Keywords | リンパ球ホーミング / 高内皮細静脈 / リンパ節 / L-selectin / MAdCAM-1 |
Research Abstract |
リンパ節の高内皮細静脈(HEV)の高内皮細胞におけるホーミングリガンドの発現および局在はリンパ球の器官特異的なホーミングに重要であるとされていたが、これまではそのリガンドの発現状態では末梢リンパ節と腸間膜リンパ節においてのみ違いがあるとされたいた。腸間膜リンパ節はパイエル板等の腹腔内消化管付随のリンパ組織の排導リンパ節である。マウスの鼻腔と鼻咽頭の境界部に位置する粘膜付随リンパ組織である鼻腔・咽頭粘膜付随リンパ組織(NALT)およびその排導リンパ節である深頸リンパ節において末梢リンパ節ホーミングリガンドとされるL-セレクチンリガンドと消化管付随粘膜組織ホーミングリガンドのMAdCAM-1の発現局在状態をそれぞれのモノクローナル抗体であるMECA-79およびMECA-367抗体を用いた免疫染色法により調べた。気道経由の抗原進入部と考えられる鼻腔・咽頭粘膜の付随のリンパ組織のNALTでは,一部のHEVがMAdCAM-1を発現し,また,そのほとんどのHEVがL-セレクチンリガンドを発現しており,腹腔内消化管付随のリンパ組織のパイエル板とは同じ粘膜付随のリンパ組織ではあるがそのリンパ球ホーミングリガンドの発現様式は異なっていた。また,NALTの排導リンパ節である深頸リンパ節においては皮膚からのリンパのみの排導リンパ節および腸間膜リンパ節のどちらとも異なるリンパ球ホーミングリガンドの発現様式であり,二次リンパ組織のHEVでのリンパ球ホーミングリガンドの発現様式が多様であることが明らかになった。このことがリンパ球の選択的通過の重要な機構の一部となっていると考えられる。
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