2001 Fiscal Year Annual Research Report
消化管再構築の分子機構:上皮・結合組織相互作用に関わる遺伝子の解析
Project/Area Number |
11670017
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Research Institution | Dokkyo University School of Medicine |
Principal Investigator |
岡 敦子 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (50175254)
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Keywords | 消化管 / 器官再構築 / 組織間相互作用 / in situハイブリダイゼーション / 甲状腺ホルモン応答遺伝子 / 幹細胞 / ソニックヘッジホッグ / 器官培養 |
Research Abstract |
変態期の両生類の消化管では、甲状腺ホルモン(TH)を引き金として一連の上皮・結合組織相互作用が生じる結果、哺乳類消化管に類似の器官が再構築される。この過程では、それまで機能していた幼生型上皮がアポトーシスにより消失し、幹細胞から新たに成体型上皮が形成される。本研究では、近年、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の小腸で数多くクローニングされているTH応答遺伝子の発現カスケードを解析することによって、哺乳類に共通の消化管再構築機構を分子レベルで解明することを目指している。本年度は、これまでに同定されたTH初期応容遺伝子のうち、成体型上皮の形成と密接に関連した発現パターンを示すソニックヘッジホッグ(Shh)遺伝子の機能に注目した。小腸の生体外培養系を用いて、分泌蛋白質であるShh遺伝子産物の過剰投与や抗Shh抗体を用いた機能阻害実験を行い、Shhの成体型上皮形成に果たす役割を実験的に検証した。その結果、上皮から産生されるShhは、成体型未分化細胞の増殖を促進すること、過剰に発現された場合には腸上皮の管腔形成の異常を引き起こすこと、等の結果を得た。さらに、Shhにより結合組織での発現が誘導される骨形成蛋白質-4(BMP-4)遺伝子に関しても、同様の培養方法にて、上皮形成に果たす機能を解析中である。現在までに、BMP-4は、成体型未分化細胞に対してShhとは異なる作用をもつことを示唆する知見を得つつある。
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[Publications] Ishizuya-Oka, A, Ueda, S, Inokuchi, T, Amano, T, Damjanovski, S, Stolow, M, Shi, Y.-B.: "Thyroid hormone-induced expression of Sonic hedgehog correlates with adult epithelial development during remodeling of the Xenopus stomach and intestine"Differentiation. 69. 27-37 (2001)
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[Publications] Shi, Y.-B., Ishizuya-Oka, A.: "Thyroid hormone regulation of apoptotic tissue remodeling : Implication from molecular analysis of amphibian metamorphosis."Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol.. 65. 53-100 (2001)
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[Publications] 岡 敦子: "小腸上皮幹細胞による小腸の再生"治療学. 35・10. 1077-1080 (2001)