1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670021
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 講師 (80311976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
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Keywords | 腎臓 / 糸球体 / 足細胞 / スリット膜 / 細胞間接着 |
Research Abstract |
糸球体足細胞の足突起間にあるスリット膜はきわめて特異な構造の細胞間結合であり、その分子構築の全貌はまだ明らかになっていない。本研究はその目的として、足細胞の足突起間にあるスリット膜の画分を効率的に回収して、スリット膜および基部に存在する分子を同定する。この同定されたスリット膜分子の情報を基にして、1)糸球体濾過機能におけるスリット膜構造の役割を明らかにし、2)スリット膜を形成させる細胞内情報伝達機構について明確にし、さらに3)病態時とくに蛋白尿発症時でのスリット膜構成分子の発現量や分布の変化についても研究を進めることにより、腎炎の発症機序の解明や、診断への応用が期待される。 本年度はスリット膜画分の効率的な回収法の確立を計画していたが、この研究の中心となる栗原は本年1月に順天堂大学に赴任して、新たに細胞生物学の研究室を立ち上げるために時間を要したが、分子の局在を調べるためにもっとも良い方法と考えられる凍結超薄切片を用いた免疫電顕のシステムのセットアップは完了した。昨年、先天性ネフローゼ症候群の原因遺伝子が発見され、それがコードするネフリンと呼ばれる蛋白が同定された。新潟大学と共同でラットネフリンのクローニングとその局在を調べた結果、ラットネフリンはスリット膜の構成分子であることが明らかとなり、その結果を学術誌に報告した。また、ネフリン以外に細胞間結合装置の構成に関与するいくつかの新規蛋白のスリット膜周辺への局在を免疫組織化学で明らかにしている。今後は、これらの分子の相互作用などを培養細胞系と単離糸球体において研究していく予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hosoyamada Y,Kurihara H,Sakai T: "Ultrastructural localization and size distribution of collagen fibrils in the Glisson's sheath of rat liver-implications of mechanical environment and possible producing cells."J Anat. 196. in press (2000)
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[Publications] Kawachi H,Koike H,Kurihara H et al.: "Cloning of rat nephrin:Expression in developing glomeruli and in proteinuric states."Kidney Int. 57. in press (2000)
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[Publications] 栗原秀剛、坂井建雄: "腎血管系・糸球体の特性"血管と内皮. 9. 129-136 (1999)
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[Publications] 栗原秀剛、坂井建雄: "糸球体の構造と糸球体を構成する各種細胞の生物学的特徴"小児内科. 31. 919-922 (1999)
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[Publications] 栗原秀剛: "糸球体足細胞スリット膜の分子構築"腎と透析. 47. 855-859 (1999)
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[Publications] 栗原秀剛: "糸球体足細胞に発現する特異蛋白の解析"臨床病理. 48(in press). (2000)
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[Publications] 坂井建雄;河原克雅: "カラー図解 人体の正常構造と機能V腎・泌尿器"日本医事新報社. 86 (1999)