1999 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンおよび外因性ホルモン様化学物質の粘膜系免疫機構に対する影響
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11670023
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
坂部 貢 東海大学, 医学部, 助教授 (70162302)
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Keywords | 性ホルモン / 環境シグナル / ホルモン様化学物質 / リンパ球 / アポトーシス / 免疫毒性 |
Research Abstract |
生後3周齢のウイスター系ラットの卵巣を除去し、2週間飼育したのち、エストラジオール(E)、ビスフェノール-A(BA)、メトキシクロール(Mx)を、それぞれ8mg充填したシリコンチューブを14日間背部皮下に埋め込み、パイエル板および胸腺の機能形態的変化を検討した。その結果、パイエル板においては、1)E、BA、Mxとどの投与群も非投与群と比べて有意(P<0.05)にパイエル板の大きさを減少させた。またその強さは、E>Mx>BAの順で大きい。2)組織学的には、胚中心のリンパ球密度が著しく減少し、投与の影響は、主に、胚中心に生じることが示唆された。またTUNEL法によるアポトーシス細胞の解析では、TUNEL陽性細胞の数が有意(P<0.05)に上昇し、電子顕微鏡的観察においても、アポトーシス小体を認める多数のリンパ球が投与群において認められた。また、胸腺においては、1)E、BA、Mxとどの投与群も非投与群と比べて有意(P<0.01)に胸腺の重量減少を引き起こした。その強さは、E>Mx>BAの順で大きい。2)組織学的には、皮質におけるリンパ球密度が著しく減少し、投与の影響が、主に皮質領域に起こることが示唆された。電子顕微鏡的観察においても、マクロファージに貧食された多数のアポトーシスを認めるリンパ球が観察された。3)次に、胸腺におけるTリンパ球の分化・成熟に重要な働きのある胸腺因子のmRNAの発現量は、投与群において、著しく抑制された。以上の結果より、これらの化学物質は、パイエル板および胸腺の微小環境に影響を及ぼし、引いては、生体の免疫応答に強く影響を及ぼすことが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kou Sakabe: "Inhibitory effect of natural and enviromental estrogens on thymic hormone production in TEC culture"International Journal of Immunopharmacology. 21(12). 861-868 (1999)
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[Publications] Kou Sakabe: "Natural and environmental oestrogens increase expression of SS-A/Ro autoantigen in the salivary gland of OVX rats"Pathophysiclogy. 6(1). 231-236 (2000)
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[Publications] Kou Sakabe: "Effect of environmental signals on bursa of Fabricius, with special reference to B celL apoptosis"International Journal of Immunopharmacology. 22(in press). (2000)
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[Publications] 井上泰泉: "環境ホルモンハンドブック"講談社. 315 (1999)