2001 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンおよび外因性ホルモン様化学物質の粘膜系免疫機構に対する影響
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11670023
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Research Institution | The Kitasato Institute |
Principal Investigator |
坂部 貢 社団法人北里研究所, 北里研究所病院・アレルギー科, 研究員 (70162302)
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Keywords | 腸管粘膜系免疫機構 / GALT / エストロゲン / 環境ホルモン / パイエル板 / リンパ球 / アポトーシス / 7A6抗原 |
Research Abstract |
【方法】 各種濃度(0.03mg〜3mg/mlコーンオイル)に調整した、エストラジオール(E)・ビスフェノールーA(Bis-A)、ゲニステイン(G)を、動物用胃ゾンデを用いて、ウイスター系6週齢の卵巣摘出ラットに1日あたり1mlを、14日間強制連続投与した。コントロール群には、1mlのコーンオイルのみを投与した。動物は、投与開始から、24時間後、48時間後、72時間後、5目後、7日後、14日後の午前に屠殺、小腸(空腸・回腸)を摘出し、常法通りの方法で、光学顕微鏡標本および透過型電子顕微鏡標本を作製し観察した。また、一部の標本は、免疫組織化学的手法およびIn Situハイブリダイゼーション法にてタンパクレベル・mRNAレベルの解析を行った。 【結果】 光学顕微鏡的観察では、0.03mgの低用量E投与群でも、投与後48時間以降の標本で、パイエル板内のリンパ球密度の低下が観察された。電子顕微鏡的観察においては、マクロファージによって貧食されているリンパ球が多数観察され、投与時間に依存してその数は増加した,さらに、それらのリンパ球の変化がアポトーシスによるものか否かを明かにするため、アポトーシス初期シグナルとして発現する7A6抗原をタンパクレベル・mRNAレベルの両面から検討した。その結果、Eの経口投与は、パイエル板におけるリンパ球のアポトーシスを強く誘導することが明らかになった。また、E様作用を有するBis-A、Gについても同様の観察を行なった結果、Bis-Aにおいては、Eの1000倍投与量より、Gにおいては、Eの100倍投与量以上で、Eとほぼ同様の現象をパイエル板に惹起することがわかった。 【まとめ】 以上結果より、経口投与されたエストロゲンおよびエストロゲン様化学物質は、生体の最初の異物バリアーである腸管系の形態的微小変化を惹起すること、またその形態的変化は、おもにパイエル板の主たる構成要素であるリンパ球のアポトーシスによるものであることが判明した。
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[Publications] H.Tonori, Y.Aizawa, M.Ojima, S, Ishikawa, K, Sakabe: "Anxiety and depressive states in multipul chemical sersitivity"Tohoku J.Exp.Med.. 193. 115-126 (2001)
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[Publications] T.Nomura, J.Mochida, M.Okuma, K.Sakabe: "Nucleus pulposus allograft retards Interver Tebral disc degeneration"Orthp.Relat.Res.. 389. 94-101 (2001)
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[Publications] 坂部貢: "内分泌撹乱物質の免疫系への影響"最新医学. 57(2). 32-39 (2002)