1999 Fiscal Year Annual Research Report
支配神経の走行ならびに筋内分布による哺乳類咀嚼筋の分類
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11670026
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
塘 総一郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10227639)
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Keywords | 咀嚼筋 / 有袋類 / 三叉神経 / 比較解剖 |
Research Abstract |
哺乳類の咀嚼筋については、層構造を筋束方向や筋内腱束をもとに解析した機能解剖学的研究が盛んに行われてきた。しかしこれらの研究は、何れも神経には対する配慮に乏しく、その結果、異なった種の間でのそれぞれの層の相同性は確認されていないまま、色々な名称が付けられてきていた。我々は支配神経を用いて相同性の問題を解決して来た(Tomo 1990,Tomo et al 1993,1994,1995,1997,1998)。今回有袋類の解剖を行ない咀嚼筋の分類をその支配神経を用いて哺乳類咀嚼筋の基本的な形を考えてみた。オーストラリア政府 Wild Protectionより輸入許可済(平成10年10月12日)の以下の動物を輸入する。草食亜目:カンガルー(Macropus) 10頭、ウォンバット(Phascolomis) 5頭、食肉亜目:オポッサム(Didelphis) 6頭、タスマニアンデビル(Sarcophilus) 8頭。この際、固定してあるものは骨標本に適さないので標本は全て冷凍して空輸した。 その後解剖に供するものは10%フォルマリンで固定した後アルコールで後固定しました。また筋の起始、停止を固定するためのみならず、下顎神経の位置の正確な把握のために各動物種で少なくとも1つは骨標本を作成しました。最初に標本数の多いカンガルーから解剖を始めました。頭蓋を半切し卵円孔からさらに蝶形骨を側頭骨まで割り込み前深側頭神経、後深側頭神経および咬筋神経を剖出しました。下顎神経全体の分枝形態の観察を行い神経の基本的形態を決定しました。さらに神経の各咀嚼筋への筋内分布を詳細に観察しました。この際、教室所有のウイルド社製手術用顕微鏡M650を用いて徹底的に行いました。骨標本を参考にして詳細に記載し所見の蓄積を行いました。カンガルーは咀嚼筋のうち特に咬筋の発達が著しく、咬筋は支配神経である下顎神経によって浅層の部分にはっきりと区別された。
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