2001 Fiscal Year Annual Research Report
支配神経の走行ならびに筋内分布による哺乳類咀嚼筋の分類
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11670026
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
塘 総一郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10227639)
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Keywords | 咬筋 / 側頭筋 / 下顎神経 / 咀嚼筋 |
Research Abstract |
本年度は、有袋類の解剖をさらに進めて、咀嚼筋の分類をその支配神経を用いて哺乳類咀嚼筋の基本的な形を考えてみた。基本的な形態を考える場合に有袋類を用いる有効性は2つ考えられる。1つは哺乳類の中でより基幹動物に近いと言うことである。さらに他の哺乳類から離れていることも有効性をもたらす。離れたもの同士を比較して共通点を求めるとより不変的な基本の部分が抽出される。この2つの有効性を利用して哺乳類咀嚼筋の基本的な形を考えてみようと言うのが1つ目の目標である。さて有袋類は大きく食肉亜目(opossum, Tasmanian devilなど)と草食亜目(kangaroo, wombat, koalaなど)に分類される。これらが他の有胎盤類の食肉や草食の動物と咀嚼筋においてどのように並行進化をしているのかを考えることが研究の2つ目の目標である。昨年度は、オーストラリア政府Wild Protectionより輸入許可済(平成10年10月12日)の以下の動物を輸入した。草食亜目:カンガルー(Macropus)10頭、ウォンバット(Phascolomis)5頭、食肉亜目:オポッサム(Didelphis)6頭、タスマニアンデビル(Sarcophilus)8頭。この際、固定してあるものは骨標本に適さないので標本は全て冷凍して空輸した。 その後解剖に供するものは10%フォルマリンで固定した後アルコールで後固定をはじめた。また筋の起始、停止を同定するためのみならず、下顎神経の位置の正確な把握のために各動物種で少なくとも1つは骨標本を作成した。 本年度は、コアラの解剖を進めた。頭蓋を半切し卵円孔からさらに蝶形骨を側頭骨まで割り込み前深側頭神経、後深側頭神経および咬筋神経を剖出した。下顎神経全体の分枝形態の観察を行い神経の基本的形態を決定した。さらに神経の各咀嚼筋への筋内分布を詳細に観察した。この際、教室所有のニコン社製手術用顕微鏡を用いて徹底的に行た。骨標本を参考にして詳細に記載し所見の蓄積を行った。コアラの下顎神経のうち最も高い位置で頬筋神経が分岐した。同神経は外側翼突筋に神経を出した後、側頭筋の前方部最深部に支配神経を出してそのまま前方にはしり頬筋を貫いて頬部の口腔粘膜に分布していた。内側翼突筋を支配する神経は、下顎神経の内側から独立して分岐していた。
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