1999 Fiscal Year Annual Research Report
GDNF(グリア細胞株由来栄養因子)によるヒト筋疾患治療の基礎的研究
Project/Area Number |
11670032
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
赤澤 智宏 国立精神・神経センター, 神経研究所・代謝研究部, 室長 (80291160)
|
Keywords | 神経栄養因子 / GDNF / 筋疾患 / 運動ニューロン |
Research Abstract |
GDNF(Glial cell line-derived neurotrophic factor)はラット・グリア細胞様B49培養上清中の神経栄養因子として1993年、Linらによって単離・同定された。GDNFはin vitroでラット黒質線条体ドパミン作動性ニューロンに対して強力な生存活性を有し、同時にドパミンの取り込みを促進することが報告された。さらに、GDNFは中枢神経系のみならず、ラット胎児の脊髄前根、幼弱な骨格筋、末梢神経にも発現していることが明らかになり、末梢神経における生理作用が注目されている。我々は、ヒト骨格筋を用いてGDNFの発現を検索し、さらにGDNF受容体の一つであるGFRα1の発現解析を行った。 Northern blot及びRT-PCRを用いて調べたところ、GDNF mRNAは成人ヒト骨格筋及び心筋で高い発現をしていることが明らかになった。そこで、我々は抗GDNFポリクローナル抗体を用いて免役組織学的にGDNFの局在を検討した。その結果、すべての骨格筋線維内にGDNFの免疫反応が強く認められた。免役反応は特に筋形質膜直下に強く、筋線維の中心部に近づくほど弱くなる傾向を示した。また、細胞外部分である筋線維間の内鞘部分にも免疫反応を認めた。数多くのヒト検体を検索した結果、神経・筋接合部にGDNFが強く集積していることが明らかになった。これは、運動ニューロンに対する標的組織である筋線維がGDNFを産生し、神経・筋接合部において運動ニューロンに取り込まれていることを示唆する初めてのデータであり、注目される。現在、受容体であるGFRα-1の発現を解析している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Dyck RH, Richards, LJ et al.: "Cloning of full-length mammalian Emx1 and Emx2 and their graded expression in the developing neocortex"Journal of Neurobiology. (in press). (2000)
-
[Publications] Haraguchi T, Koujin T et al.: "Reformation of the functional nuclear envelope during telophase : Temporal sequences determined by fluorescence imagings in living HeLa cells"Journal of Cell Science. 113. 779-794 (2000)
-
[Publications] Hase A., Suzuki H. et al.: "Expression of human GFRa-1 (GDNF receptor) at the neuromuscular junction and myelinated nerves"Neuroscience Letters. 269. 55-57 (1999)