1999 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス伝達調節における逆行性シグナルおよびグリアの関与
Project/Area Number |
11670036
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
少作 隆子 金沢大学, 医学部, 助教授 (60179025)
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Keywords | 海馬 / 逆行性シグナル / グリア / 抑制性シナプス / シナプス伝達調整 |
Research Abstract |
1.記憶や学習の基礎的要素の1つと考えられているシナプス塑性に、シナプス後ニューロンから放出されシナプス前ニューロンに作用する因子(逆行性伝達物質)が関与している可能性が指摘されている。本研究では、抑制シナプス伝達の短期可塑性の一つである"depolarization-induced suppression of inhibition(DSI)"という現象に関与する逆行性伝達物質の実体、およびその過程におけるグリアの役割の解明を試みた。 2.ラット海馬細胞の単離培養系を用い、シナプス前・後の両ニューロンのwhole-cell clampにより抑制性シナプス電流(IPSC)を測定し、シナプス後ニューロンを脱分極させIPSCの一過性抑圧(DSI)を誘発した。DSIの発現について詳しく検討したところ、以下の結果を得た。 (1)抑制性シナプスには、DSIの起こるシナプスと起こらないシナプスとがある。 (2)DSIの発現の有無はシナプス前ニューロンに依存している。 (3)DSIの起こるシナプスでは、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)アゴニストによりIPSCは減少した。またDSIの大きさとmGluR-アゴニストによるIPSC減少の大きさとの間には、きれいな相関が見られた。 (4)mGluR-アゴニストによるIPSCの減少に関与するmGluRのサブタイプに関しては、シナプスにより多様性が見られた。 (5)mGluR-アゴニストによるIPSCの減少の見られなかったシナプスでは、DSIは起こらなかった。 3.以上の結果は、DSIにmGluRが関与する可能性を強く示唆する。逆行性伝達物資がグルタミン酸である可能性、およびその過程におけるグリアの関与については今後さらに検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takako Ohno-Shosaku: "Effects of CaM kinase II inhibitors on DSI in rat hippocampal culture."Neuroscience Research. Supplement23. S85 (1999)
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[Publications] Takako Ohno-Shosaku: "Heterosynaptic expression of depolarization-induced suppression of inhibition (DSI) in rat hippocampal culture."Neuroscience Research. 36. 67-71 (2000)