1999 Fiscal Year Annual Research Report
変異P型カルシウムチャネル由来のチャネル病の電気生理学的解析
Project/Area Number |
11670055
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
若森 実 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (50222401)
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Keywords | カルシウム / チャネル / プルキンエ細胞 / パッチクランプ法 / マウス / テンカン |
Research Abstract |
チャネルや受容体の研究分野への分子生物学の導入により、チャネルや受容体をコードする遺伝子の異常に起因する疾患(遺伝子異常症)が知られるようになった。電位依存性Ca^<2+>チャネルのうち、P型Ca^<2+>チャネルをコードするα_<1A>サブユニットに変異が入ることにより、ヒトでEpisodic Ataxia-2,Familiar Hemiplegic Migraine,SCA6等の中枢神経疾患が引き起こされることが報告された。また、テンカン及び小脳変性症のモデル動物であるtottering(tg)及びleaner(tg^<1a>)マウスもP型Ca^<2+>チャネルをコードするα_<1A>サブユニットに変異があり運動失調症と痙攣発作/欠伸発作・脳波異常を示すことが報告されている。しかし、これらの遺伝子異常症のP型Ca^<2+>チャネルの機能解析は行われていない。まず、tg及びtg^<1a>マウスのチャネル活性を検討した。正常、tg及びtg^<1a>マウスから小脳Purkinje細胞を急性単離しP型Ca^<2+>チャネル電流を記録した。tg及びtg^<1a>マウスの電流密度は各々55%と37%に減少し、tg^<1a>マウスの活性化曲線が8.8mV、不活性化曲線が13.2mV脱分極側へ移動していた。次に、α_<1A>サブユニットに変異を導入した後、培養哺乳動物細胞(Baby hamster kidney細胞)に強制発現させたところ、Purkinje細胞で得た結果を再現できた。更に、SCA6(ポリグルタミン病)の病因を解明するために、α_<1A>サブユニットのC末に30個及び40個CAGを添加すると4個の物に比べ電流密度は変化しないが、不活性化曲線が13.2mV過分極側へ移動していた。このことから、SCA6の患者さんではCa^<2+>チャネル活性が低下していることが予想された。以上の様に、P型Ca^<2+>チャネル活性の減少が小脳変性症の原因になっていることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Wakamori, M. 他11名: "Single tottering mutations responsible for the neuropathic phenotype of the P-type calcium channel"Journal of Biological Chemistry. 273・52. 34857-34867 (1998)
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[Publications] Matsuyama, Z., Wakamori, M. 他4名: "Direct alteration of the P/Q type Ca^<2+> channel property by polyglutamine expansion in spinocerebellar ataxia 6 (SCA6)"Journal of Neuroscience. 19・RC14. 1-5 (1999)
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[Publications] Uneyama H., Takahara A., Wakamori M. 他2名: "Pharmacology of N-type Ca^<2+> channels distributed in cardiovascular system"International Journal of Molecular Medecine. 3. 455-466 (1999)
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[Publications] Wakamori, M. 他2名: "Auxiliary subunits operate as a molecular switch in determing gating behaviour of unitary N-type Ca^<2+> channel currents"Journal of Physiology. 517・3. 659-672 (1999)