1999 Fiscal Year Annual Research Report
リスザル海馬・前庭核ユニット記録による宇宙適応症候群中枢機序の解明
Project/Area Number |
11670065
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松波 謙一 岐阜大学, 医学部, 教授 (90027491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
THUCYDIDES Laureta Salunga 岐阜大学, 医学部, 特別研究員
佐竹 裕孝 岐阜大学, 医学部, 講師 (30187158)
川島 卓 岐阜大学, 医学部, 助教授 (90161314)
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Keywords | リスザル / 宇宙酔い / 前庭核 / 大脳皮質ユニット / ニューロン活動 / 慢性実験 / 眼電図 / 心電図 |
Research Abstract |
研究目的:宇宙適応症候群(Space Adaptetion Syndrom;SAS)、別名宇宙酔いの中枢性機序を解明する動物としてリスザルが不適を明らかにするのが、本研究の一つの大きな目的である。リスザルを選んだのは以下の理由による。1)できるだけ人間に近い動物が好ましい。この観点から霊長類のリスザル、マカカ、タマリンが候補として挙げられるが、マカカは体重が10kg以上にも及び、力が強く、糞尿の量も多く、限定された宇宙ステーションには向かない。タマリンは弱く、又、むしろラットに近く、SASの研究には向かない。一方、リスザルの動揺病に関しては行動上の実験データが多く、宇宙ステーションで使うに向いていると判断し、今回の実験で採用した。今年度は特に前庭核ニューロン活動の記録を試みた。 研究方法:1)リスザルをモンキーチェアに座らせるように訓練する。2)反射研究施設にある空間識実験装置のゴンドラに入れて水平回転を加える。3)頭蓋骨にマニプレータ用のアダプターを固定する手術を行なう。4)同時に心電図、眼電図用の電極を取り付ける。導線は経皮下的に頭部まで延長し、アクリルの固定台に取り付けたアダプターに接続する。5)タングステン電極により、前庭核、大脳皮質からニューロン活動を記録する。結果:慢性実験であったので、色々なトラブルに遭遇した。1)手術に対する耐性が弱く数匹のリスザルは手術後数日内に死亡した。アダプター取りつけ、ENG、ECG用の導線経皮下封入はサルにかなりの負担になる。2)慢性実験を開始し、毎日記録針を脳内に刺入してニューロン活動を記録すると痩せて体重が落ちる。2ヶ月位の記録が限度である。3)頭蓋骨が極めて薄いので、アダプターがはずれて来る。この時点で実験遂行が不可能となる。4)ユニットの記録はマルチユニットで小さく、分離が悪い。また、空間識の実験装置自体、大きなノイズを出すので、よほど良いユニットでなければデータにならないことが解った。5)前庭核からの記録は、周囲に血圧中枢、心臓血管中枢があり時として実験終了後、立てなくなったり、嘔吐することもある。以後、大脳皮質からのニューロン記録に切り替えた。結論及び今後の方針:1)リスザルで前庭核からの慢性的なニューロン活動の記録はかなりな困難を伴う。2)ユニットの分離が悪い。3)空間識実験装置それ自体が大きなノイズを出す。以上のようなので記録部位を大脳皮質にして、ユニットが上手く分離できるかどうかを試みた後、来年度はデータ整理に集中したい。
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[Publications] Matsunami K., Konishi I., and Satake H.: "Effects of hyper +Gz acceleration on brainstem and auditory cortical evoked potentials and cerebral blood flow in anesthetized rats."Journal of Gravitational Physiology. 6(1). 61-62 (1999)
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[Publications] 松波謙一: "第4章高次脳機-感覚と運動の統合メカニズム-"実験医学. 17(16). 144-152 (1999)
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[Publications] 松波謙一: "野村恭也、小松崎篤、本庄岩尾(編)CLIENT 21(8) 大脳と体平衡-めまい・平衡障害-"中山書店. 157-169 (1999)