2000 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞内クロライドイオン濃度変化のメカニズムの解析とその生理学的意義
Project/Area Number |
11670095
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
頼仲 方一 熊本大学, 医学部, 助手 (90244110)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 勝英 熊本大学, 医学部, 教授 (00040220)
|
Keywords | 細胞内クロライド濃度 / 細胞外ATP / Cl^--HCO_3^-交換系 / クロライドフリー / 心筋細胞 / アミロライド / T細胞 / 電圧依存性なNa^+チャンネル |
Research Abstract |
1.細胞外ATPの投与で誘導される心筋細胞内クロライドイオン濃度の上昇に関するメカニズムの研究実験はモルモット心室乳頭筋標本における、細胞外クロライドフリー、細胞外Na^+イオンの除去、あるいはCl^--HCO_3^-とNa^+-H^+交換系遮断薬の投与など条件下に、細胞内Cl^-イオンホメオスタシスの変化に対して細胞外ATP投与の効果を検討した。その結果より、ATPの細胞内クロライドイオン濃度を増加する効果はCl^-チャンネル、あるいは、Na^+-H^+交換系ではなく、細胞膜に存在しているCl^--HCO_3^-交換系の活性化と密接関連していると示唆した。この結果は平成12年度大阪で開催された第17回国際心臓学会日本部会に発表された。さらに、その内容の一部は論文として、Jpn.J.Pharmacol.2000;84(4)号に載られた。 2.T細胞活性化期間に、Cl^--HCO_3^-交換系とNa^+チャンネル活性化の役割心筋虚血再灌流期間に、組織の損傷を起こす炎症反応が生じることは以前から知られている。そうすると、炎症反応と良く関連がある血液中のT細胞の活性化と細胞内クロライドイオン濃度変化の関連に対する研究は非常に重要である。この目的で、我々は、ジャーカットT細胞およびHLA拘束性のT細胞クローンの活性細胞内クロライドイオン濃度の変化の関係を観察した。結果より、ジャーカットT細胞もHLA拘束性のT細胞クローンもPHAなどレクチンあるいは抗原ペプチッドの投与で刺激すると、細胞内クロライドイオン濃度の有意的な増加が見られた。一方、我々はホールセルパッチクランプ方法を利用して、HLA拘束性のT細胞クローンに電圧依存的な内向きNa^+電流の存在とその電流がT細胞の活性化に対する役割を検討した。抗原ペプチドで刺激されたT細胞においては、電圧依存的なNa^+電流が見られたが、このNa^+電流は細胞外Na^+がフリーにする及びアミロライドの投与で抑制された。更に、アミロライドはNa^+電流を抑制する濃度とほぼ同じ濃度でT細胞の増殖反応を抑制した。我々の結果は、初めて電圧依存的なNa^+チャンネルの活性化がT細胞の活性化及び増殖に関与することを証明した。この結果の一部は日本薬理学会西南部会で発表され、さらに、論文として、J.Immunol.2000;165(1)号に掲載された。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Lai Z.-F.and Nishi K.: "Enhancement of intracellular Cl^- concentrations induced by extracellular ATP in guinea pig ventricular muscle."Jap.J.Pharmacol.. 84(4). 438-448 (2000)
-
[Publications] Lai Z.-F.,Chen Y.-Z.,Nishimura Y.and Nishi K.: "An amiloride sensitive and voltage-dependent Na^+-channel in an HLA-DR-restricted human T cell clone."J.Immunol.. 165(1). 83-90 (2000)
-
[Publications] Lai Z.-F.and Nishi K.: "Extracellular ATP induced increase in intracellular Cl-concentrations and its role on spontaneous electrical activities in guinea pig ventricular muscle."Jap.J.Pharmacol.. 82(Supp I). 308 (2000)
-
[Publications] Lai Z.-F.and Nishi K.: "Role of chloride-bicarbonate exchange on ATP-induced increase in intracellular chloride activity in guinea pig ventricular muscles"J.Mol.Cellul.Cardiol.. 32(11). 55 (2000)
-
[Publications] Higuchi M.,Lai Z.-F.and Nishi K.: "Effect of endothelin-1 on transmural flow distribution in underperfused diabetic and non-diabetic rat hearts"J.Mol.Cellul.Cardiol.. 32(11). 71 (2000)