1999 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞におけるインスリン分泌調節に寄与する細胞内メカニズムの解明
Project/Area Number |
11670097
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
石川 智久 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (10201914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 由幸 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (10275109)
小原 一男 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (60117611)
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Keywords | ランゲルハンス氏島 / β細胞 / ラット / NO / NOC 7 / Ca^<2+> / グルコース / インスリン |
Research Abstract |
膵ラ氏島β細胞において、細胞質遊離Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)とインスリン分泌の変化は時間的かつ定量的に相関する。そこで、インスリン分泌調節における一酸化窒素NOの生理的役割を明らかにすることを目的として、ラット単離β細胞の[Ca^<2+>]_iに対するNOの作用を検討した。Wistar系雄性ラット(9-12週齢)からコラゲナーゼ消化法によりラ氏島を採取し、得られたラ氏島にEGTAを作用させ、単一のβ細胞に分散させた。得られたβ細胞は、1日間初代培養後、実験に用いた。β細胞をCa_<2+>蛍光指示薬であるfura2を負荷し、Argus50/CA Systemを用いて340nm及び380nm励起で得られる画像間の蛍光強度比をリアルタイムで計算させ、カルシウム濃度のイメージングとしてコンピューターに記録した。その結果、NOドナーであるNOC-7は、7mM glucoseやATP感受性K^+(K_<ATP>)チャネル阻害薬であるtolbut-amideによる[Ca^<2+>]_i上昇反応には促進的に作用するのに対し、他のK^+チャネル阻害薬や高濃度K^+による[Ca^<2+>]_i上昇反応には抑制的に作用することが明らかとなった。これらの作用はいずれも、cGMP産生を介した反応であることが示された。さらに11.1mMグルコースにより生じる[Ca^<2+>]_iオシレーションに対しては、NOC-7はcGMP産生を介さずに抑制効果を示すという興味深い結果も得られた。以上のことから、NOは、β細胞の[Ca^<2+>]_iを調整することにより、グルコースによる膵ラ氏島β細胞からのインスリン分泌の生理的な調節因子として機能している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Noriko Matsuura,et al,: "Nitric oxide-cyclic GMP system potentiates glucose-induced rise in cytosolic Ca^<2+> concentration in rat pancreatic β-cells"Life Sciences. 65. 1515-1522 (1999)
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[Publications] Kazuo Obara,et al.: "Contractile potentiation by endothelin-1 involves protein kinase C-δ activity in porcine coronary artery"Japanese Journal of Physiology. 49. 175-183 (1999)
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[Publications] Koichi Nakayama,et al.: "(+)-[^3H]Isradipine and[^3H]glybenclamide bindings to heart and lung membranes from rats with monocrotaline-induced pulmonary hypertension"Japanese Journal of Pharmacology. 81. 176-184 (1999)
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[Publications] Naoto Sakai,et al.: "Absence of plasma protease-antiprotease imbalance in the formation of saccular cerebral aneurysms"Neurosurgry. 45. 34-39 (1999)
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[Publications] Kazuo Obara,et al.: "Protein kinase Cδ but not PKCε activity in involved in contractile potentiation by endothelin-1 in the porcine coronary artery"Journal of Cardiovascular Pharmacology. (in press). (2000)