2000 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白質に対する核酸製剤の脳内投与によるオピオイド受容体の情報伝達機構の解明
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11670103
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小林 広幸 東海大学, 医学部, 講師 (60195807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 正信 東海大学, 医学部, 助手 (90276791)
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Keywords | ミューオピオイド受容体 / G蛋白質 / アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド / RT-PCR / モルヒネ鎮痛 / in situ hybridization |
Research Abstract |
平成11年度は、μオピオイド受容体とカップルする可能性のあるG蛋白質αサブユニット(Gi1〜3α、Goα、Gsα)を抑制するために、多種類のアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)をデザインし、その遺伝子抑制効果の特異性と鎮痛に与える効果を検討した。その結果、μオピオイド受容体の情報伝達に関わるG蛋白質αサブユニットは、Gi1αやGoαである可能性が示唆された。検討課題として、(1)各G蛋白質αサブユニット間での相同性によるAS-ODNの特異性が完全でないこと、(2)AS-ODNを投与されたラットでその効果に個体差があること、が挙げられ、平成12年度にこれらの点について検討を加えた。 (1)さらに特異性の高いAS-ODNをデザインすべく、標的部位の配列や塩基数の至適化を図ったが、更なる特異性の改善は得られなかった。そこで、AS-ODNより塩基配列の識別能が高いリボザイムとDNA酵素のデザインを行い、in vitroで標的RNAを特異的に切断することを確認した。今後、ラットへの投与法を検討し、ラット脳内における遺伝子抑制効果の特異性と鎮痛に与える効果を検討する予定である。 (2)中脳水道周囲灰白質(PAG)にAS-ODNを48時間毎に3回投与し、その遺伝子抑制効果をin situ hybridizationにより検討した。投与部位を中心に標的遺伝子のシグナルの抑制が確認された。投与部位から離れるとともにシグナル抑制の程度は減弱し、AS-ODNの効果を空間的に確認することができた。また、ホスホロチオエート型AS-ODNの投与部位には、リンパ球の浸潤が観察され、この浸潤の程度がラット間でのAS-ODN効果の個体差に関与している可能性が示唆された。
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