2000 Fiscal Year Annual Research Report
心臓機能の発達変化および種業に関する研究:マウス心筋の薬理学的・生理学的特殊性の解析
Project/Area Number |
11670106
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Research Institution | TOHO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
重信 弘毅 東邦大学, 薬学部, 教授 (50012654)
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Keywords | マウス心筋 / 交感神経α-作用 / エンドセリン / アンジオテンシンII / 心内膜内皮細胞 / プロスタグランジン / 活動電位 / Na^+,Ca^<2+>交換反応 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度から継続した研究によりマウス心室筋におけるα-刺激による陰性変力作用のメカニズムが、Na+,Ca2+-交換電流の促進にあることを確定し、これを論文化した。また、アセチルコリンは、他の動物種とは異なり、マウス心房に対してはわずかな陰性変力作用に続いて顕著な陽性変力作用を発現するが、これが心房内膜の内皮細胞に作用してプロスタグランジンを遊離させ、それが陽性変力作用を及ぼすことを実証すると共に、これらを論文化することが出来た。これも昨年度からの継続課題であったが、これを実証出来たことは、血管内皮と比較すると大幅に研究が立ち遅れている心内膜内皮細胞の機能的役割を研究する上で、大きな手掛かりを与えるものと考えられる。 更に、派生的なものではあるが、次のような興味深い知見が得られた 1)上記のようなα-刺激による反応には温度依存的なメカニズムが含まれる可能性を示唆する知見が得られた。即ち、α-刺激による陰性変力反応とL型カルシウムチャネル活性化は、35〜36℃では著明に認められるが、22〜23℃ではこれらが大幅に減弱するというものである。対照的にβ-刺激による陽性変力反応とL型カルシウムチャネルの活性化には温度依存性は認められない。 2)もう一つの派生的な知見は、4-アミノピリジン、ニカルジピン、ライアノジンに対するマウス心房の特徴的な反応に関するものである。ニカルジピンは通常の実験動物心筋では顕著な収縮力減少を示すが、マウスではわずかな収縮力低下を示すのみで、活動電位には影響しなかった。対照的に、ライアノジンはマウス心房筋の収縮力を大幅に滅弱させた。これらの特徴的な作用は、マウス心筋の特異的な活動電位波形と、収縮のSR機能への強い依存性に起因することを示し得た。
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[Publications] Nishimaru,K.,….…,Shigenobu,K.: "Positive and negative inotropic effects of muscarinic receptor stimulation in mouse left atria"Life Sciences. 66. 607-615 (2000)
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[Publications] Nishimaru,K.,…,Shigenobu,K.: "Pharmacological properties of excitation-contraction mechanisms in isolated mouse left atria"Pharmacology. 62. 87-91 (2001)
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[Publications] Nishimaru,K.,…,Shigenobu,K: "α-adrenoceptor mediated negative inotropism and enhancement of Na^<2+>,Ca^<2+>exchange in mouse ventricle"American Journal of Physiology. 280. H132-H141 (2001)
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[Publications] Tanaka,H.…,Shigenobu,K.: "Acetylcholine-induced positive inotropy mediated by prostaglandin released from endocardial endothelium in mouse left atrium."Naunyn-Schmiedeberg's Arch.Pharmacol.. (in press). (2001)