2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670108
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Research Institution | Kurume University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 正敏 久留米大学, 医学部, 教授 (10080954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江本 浩幸 久留米大学, 医学部, 講師 (80231190)
吉田 眞美 久留米大学, 医学部, 助教授 (50148285)
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Keywords | ストレス / 加齢 / 脳 / ラット / ノルアドレナリン / Fosタンパク / マイクロダイアリーシス / 老化 |
Research Abstract |
昨年の研究により、2月齢のラットと12月齢のラットの前部視床下部にマイクロダイアリーシス用のプローブを植え込み、手術後24時間して灌流を開始し、灌流液中のノルアドレナリン含量を高速液体クロマトグラフィーを用いて定量した。灌流によるノルアドレナリン含量の基礎値が安定した後、拘束ストレスを負荷し、ストレスによるノルアドレナリン放出の加齢による差について比較したところ、急性のストレスによるノルアドレナリンの放出亢進は若齢ラットのほうが高齢ラットに比べて大きかったが、拘束ストレスを反復すると若齢ラットがストレスに慣れてきて、脳のノルアドレナリン放出亢進が減弱してくるのに対して、高齢ラットでは逆にストレスが反復されることにより、ストレスによるノルアドレナリン放出亢進が強くなった。心理的ストレスについても同様の結果が得られた。そこで今回はストレスによるFosタンパクの発現の加齢差について検討した。昨年と同様2月齢と12月齢のWistar系雄性ラットを対象とした。ラットに1時間の拘束ストレスを負荷し、ストレスから解放後1時間して深麻酔下で、ラットの脳を4%paraformaldehydeを含むリン酸緩衝液で灌流固定後、脳を摘出し、マイクロスライサーにて厚さ50μmの前頭断切片を作製し、スライドグラスに張り付け、Fosタンパク抗体を用い、Avidin-Biotinylated Complex法による免疫組織化学的染色を行い、顕微鏡的検討を行った。さらに、一部の脳切片は、0.5%トルイジンブルーで染色をほどこし、プローブの挿入位置を確認した。Fosタンパク陽性細胞は、視床下部の室傍核、青斑核、視床の傍室核、前頭前野内側部、扁桃核の内側部で出現し、拘束ストレスではこれらの部位の神経細胞の活動性が亢進していることが明らかになった。しかし、これらのFos陽性細胞の出現の仕方には加齢による差はみられなかった。今後負荷するストレスの種類を変えた検討や、慢性ストレス負荷による検討などが必要と考えられた。
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[Publications] Wu,L-Y,Yoshida M,Emoto H,Ishii H,Koga K and Tanaka M: "Effects of acute and chronic administration of MCI-225, a new selective noradrenaline reuptake inhibitor with 5-HT3 receptor blocking action, on extracellualr noradrenaline levels in the hypothalamus of stressed rats."Japanese Journal of Pharmacology. 83. 31-38 (2000)
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[Publications] Tanaka M,Yoshida M,Emoto H and Ishii H: "Noradrenaline systems in the hypothalamus, amygdala and locus coeruleus are involved in the provocation of anxiety : basic stidies."European Journal of Pharmacology. 405. 397-406 (2000)