2000 Fiscal Year Annual Research Report
Igスーパーファミリーに属する膜糖蛋白、ベイシジンの作用機構の解明
Project/Area Number |
11670114
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
門松 健治 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80204519)
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Keywords | ベイシジン / 免疫グロブリンスーパーファミリー / 精子形成 / ホモオリゴマー / 網膜 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
免疫グログリン(Ig)スーパーファミリーに属する膜糖蛋白ベイシジシ(Bsg)は細胞外に2つのIgドメインを有する。そのノックアウトマウスを作製して解析すると1)着床期での多数の死亡2)生後1ヶ月以内の間質性肺炎による死亡3)精子形成不全、卵成熟不全、着床不全による両性の不妊4)記憶学習能力の著しい低下が明らかになった。本研究では1)精子形成におけるBsgの役割の解明2)Bsgのホモオリゴマーの形成機序とその生理的意義の解明3)Bsgと相同性を持つエンビジンとのクロストークの可能性の3点に目的を絞って解析を進めたが本年度は特に2)と3)に力点を置いた。 Bsgのホモオリゴマー形成はシス型の(つまり同一細胞表面上の)ものであり、それにはN末側のIgドメインが重要であることが判明した。Bsgとエンビジンとのオリゴマー形成は見ることができなかった。Bsgノックアウトマウスの解析は網膜まで及びelectroretinogramと組織学的解析の結果、桿体細胞、錐体細胞両者の機能ともBsgノックアウトマウスではほとんど消失し、加齢に伴って廃用性萎縮がおこった。色素上皮にBsgの発現が強いことからこの部位でのBsgの機能が視細胞の生存あるいは維持に必要であると考えられた。 本研究はBsgの機能発現に関わることが予想されるホモオリゴマー形成機構の一部を解明し、また新たな機能発現の場として網膜をクローズアップしたといえる。今後その作用機構のさらなる解明のためにはBsg細胞内ドメインの結合蛋白の同定、Bsg受容体の同定が急務となると考える。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yoshida,Seiya: "Homo-oligomer formation by basigin, an immunoglobulin superfamily member, through its N-terminal immunoglobulin domain."European Journal of Biochemistry. 267・14. 4372-4380 (2000)
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[Publications] Hori,Kenji: "Retinal dysfunction in basigin deficiency."Investigative Ophtalmology & Visual Science. 41・10. 3128-3133 (2000)
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[Publications] Toyama,Yoshiro: "Histological characterization of defective spermatogenesis in mice lacking the basigin."Anatomica Histologica Embryologica. 28. 205-213 (1999)
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[Publications] Tachikui,Hiroshi: "Genomic organization and promoter activity of embigin, a member of the immunoglobulin superfamily."Gene. 240・2. 325-332 (1999)