2000 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジン酸特異的ホスホリパーゼA2の触媒機構と生理機能
Project/Area Number |
11670120
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東城 博雅 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90135707)
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Keywords | ホスホリパーゼA2 / リパーゼ / 精巣 / リン脂質 / ホスファチジン酸 / リゾホスファチジン酸 |
Research Abstract |
PA代謝に関与する新しい酵素としてラット精巣からPA特異的PLA2(PA-PLA2)を精製してその基質特異性を詳しく検討した。酸性領域ではPAの2-位の不飽和アシル基を特異的に切断し他のリン脂質を分解しない。アルカリ領域ではPA分解活性は低下しモノアシルグリセロールに特異的なリパーゼ活性をしめした。このようなpHによる基質特異性の変化は、分泌経路におけるプロホルモン成熟過程で働くカルボキシペプチダーゼ等で報告されている。PA-PLA2の約10種のトリプシン切断ペプチドの部分一次構造解析からPA-PLA2は、新しいタイプのPLA2であることがわかった。このペプチドシークエンスを超微量解析するために、キャピラリー高速液体クロマトグラフィー/イオントラップ質量分析システム(LC/ESI/MS)を改良した。PA-PLA2は、酸性領域でPAを分解するため、エンドゾーム特異的脂質リゾビスホスファチジン酸(LBPA)の分解活性を検討した。LBPAは、クロマトグラフィー支持体による触媒作用によりアシル基が容易に2,3-転位してその構造が変化してしまうためTLCやHPLC等の方法では精製できない。この問題を回避するため、肝臓粗リソソームから抽出した全脂質を大過剰量の膵型PLA2で処理してほとんどのジアシルリン脂質を1-アシルリゾリン脂質に変換した。膵型PLA2はLBPAを分解しないためLBPAは残存する。PA-PLA2は1-アシルリゾリン脂質に作用しないので、これを精製せずそのまま基質として用い、反応産物を蛍光ラベル化脂肪酸分析とLC/ESI/MSで高感度に測定し、LBPA分解活性をアッセイする方法を開発した。この方法により、PA-PLA2はPAと同程度の比活性でLBPAも分解することが分かった。
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[Publications] Urbain Tchoua: "Increased intestinal phospholipase A_2 activity catalyzed by phospholipase B/lipase in WBN/Kob rats with pancreatic insufficiency"Biochim.Biophys.Acta. 1487. 255-267 (2000)
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[Publications] Ting Lu: "Identification of Essential Residues for Catalysis of Rat Intestinal Phospholipase B/Lipase"Biochemistry. (印刷中).