1999 Fiscal Year Annual Research Report
2型ホスファチジン酸ホスファターゼの形質膜局在性と生理機能
Project/Area Number |
11670131
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
甲斐 正広 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80260777)
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Keywords | ホスファチジン酸ホスファターゼ / リゾホスファチジン酸 / ホスフォリパーゼD / PAP / LPA / PLD |
Research Abstract |
2型ホスファチジン酸ホスファターゼ(PAP2)は、グリセロリン脂質やスフィンゴリン脂質など幅広い基質に特異性を示す6回膜貫通型の酵素である。主に細胞表面膜に局在する本酵素は、その属するスーパーファミリーを対象とした諸考察によって活性部位が細胞外を向いていると示唆されている。本研究ではgreen fluorescent protein(GFP)とPAP2bとの融合タンパク質を使い、この仮説を検証した。コントロール細胞に比べヒトPAP2bを過剰発現するHEK293細胞は、培地中に添加されたリゾホスファチジン酸(LPA)の脱リン酸化を3倍以上促進した。培地中のウシ血清アルブミン濃度を1%にまで増やしてもこの細胞表面膜LPA水解活性は阻害されないという結果から、PAP2bによるLPA脱リン酸化過程において必ずしもLPAが細胞表面に結合する必要の無いことが示唆された。短鎖ホスファチジン酸(PA)もLPA同様に細胞表面膜PAP活性により脱リン酸化されるが、長鎖PAはほとんど水解されなかった。また細菌由来ホスフォリパーゼDを培地に添加して細胞膜外葉に過剰産生させたホスファチジン酸について、その減少速度がPAP2b過剰発現によって変化するかどうかを調べたが、PAP2b発現の有無による差異は全く観察されなかった。これらの結果は、それが外因性であろうと内因性であろうとin vivo条件下ではPAP2bが長鎖PAを基質としないことを示唆している。最近、ホルボールエステル刺激に応答して増大するホスフォリパーゼD由来PAの蓄積量がPAP2bの過剰発現によって減少するという報告があった。ホスフォリパーゼDによって生成するPAをPAP2bがどのようなメカニズムによって脱リン酸化しているのかその制御が興味深い。PAもPAP2bもラフトと呼ばれる細胞表面膜ミクロドメインに局在していることが報告されており、その事実がPAP2bもラフトと呼ばれる細胞表面膜ミクロドメインに局在していることが報告されており、その事実がPAP2bの生理活性を制御する可能性について現在検討を続けている。
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