1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670134
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 敬 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (90306275)
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Keywords | ACF / クロマチン / NAP-1 / DNA高次構造 / 遺伝子転写 |
Research Abstract |
真核細胞は遺伝情報を安定に保ち、そして正確に発現させるための重要な機構としてクロマチンとよばれるDNA高次構造を保持している。遺伝子転写、複製、修復などの現象はクロマチン構造と密接に関連している。このクロマチン構造の構成、破壊のメカニズムを明らかにするため、ショウジョウバエ初期胚の粗抽出液を用い生理的なヌクレオソームを形成するために2種類の活性が必要であることを明らかにしてきた。一つはNAP-1と呼ばれるコアヒストン結合蛋白、もう一つの活性はATP要求性のACFである。この二つの因子をバキュロヴィルスを用いて発現させ、タンパクを精製し、精製したヒストン及びDNAを用いてヌクレオソーム形成させる系を確立した。再構築した系では2つの活性が協調しDNA、コアヒストン、ATPの存在下に10nmのクロマチン構造を作ることが可能である。またこのヌクレオソームはACFの存在下に、遺伝子転写の際に起きる再構築能を有している。特に平成11年度はリコビナント蛋白を用い、クロマチン形成のメカニズムの一端を明らかにした。すなわちACFは主にISWI,Acf1の2つのサブユニットからなり、この2つのサブユニットが両方クロマチン形成の活性に重要であることを解明した。さらにこの系を用いて形成したクロマチンはRNAポリメラーゼII系遺伝子転写やDNA修復におけるDNA高次構造の役割の研究などに応用でき、今後の発展が期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Takashi Ito: "The Acf1 and ISWI subunits of ACF function cooperatively in the ATP-dependent catalysis of chromatin assembly."Genes&DEV.. 13. 1529-1539 (1999)
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[Publications] 伊藤 敬: "クロマチン再構築因子による転写制御"実験医学. 17. 239-245 (1999)
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[Publications] 伊藤 敬: "ACFによるクロマチン再構築"蛋白質核酸酵素. 44. 1780-1787 (1999)
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[Publications] 村松正美*編、伊藤敬分担: "よくわかる遺伝子工学"羊土社. 180 (2000)