2000 Fiscal Year Annual Research Report
核内Ca^<2+>シグナリングとしてのイノシトールリン脂質代謝の役割
Project/Area Number |
11670138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深見 希代子 東京大学, 医科学研究所, 講師 (40181242)
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Keywords | イノシトールリン脂質代謝 / PLCδ4 / ノックアウトマウス / 受精 |
Research Abstract |
イノシトールリン脂質代謝系は、細胞膜直下に存在する細胞内情報伝達系の一つであるが、核内でのイノシトールリン脂質代謝系の存在も示唆されている。イノシトールリン脂質代謝の要の酵素であるホスフォリパーゼC(PLC)の一つPLCδ4は、血清刺激により、核に発現が誘導され、細胞増殖における核内での機能が示唆される。固体レベルでの生理的機能を解析するため、まずPLCδ4ノックアウトマウスの作成を行った。PLCδ4遺伝子欠損マウス、PLCδ4(-/-)はメンデル率に従い正常に生まれ、生育等wild型PLCδ4(+/+)と比べて差はなかったが、PLCδ4(-/-)同士の交配では、生まれてくる仔の数が、極めて少ないこと、妊娠率も低いことから、PLCδ4遺伝子が生殖に関与する遺伝子であることが判明した。体外受精でも同様な結果が得られたことから、妊娠率の低下は受精時に問題があることが明らかになった。次にPLCδ4は精巣に多く発現が見られるので、精巣の組織切片を作製し、抗PLCδ4抗体による免疫染色を行った所、PLCδ4は精粗細胞、特に精粗細胞の核に存在し、精子の成熟に関与していることが予想された。またPLCδ4(-/-)精子は、卵の透明帯に対して先端反応を起こす割合が著しく低下しており、このことが受精時の卵でのカルシウムの上昇を誘導できず、受精率の低下をもたらすことが確認された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kiyoko Fukami et al.: "Growthfactor-induced promoter activation of murine phospholipase C delta 4."Eur.J.Biochem.. 267. 28-36 (2000)
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[Publications] Takashi Ijuin et al.: "Identification and characterization of a novel inositol polyphosphate 5-phosphatase"J.Biol.Chem.. 275. 10870-10875 (2000)
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[Publications] Thorsten Laux et al.: "GAP43, MARCKS, and CAP23 modulate PI(4,5)P2 at plasmalemmal rafts, and regulate cell cortex actin dynamics through a common mechanism."J.Cell Biol.. 149. 1455-1472 (2000)
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[Publications] Hua Wu et al.: "Sperm factor induced [Ca2+]i oscillations by stimulating the phosphoinositide pathway."Biol.Reprod.. (in press).
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[Publications] Maiko Fukuoka et al.: "A novel N-WASP binding protein, WISH, induces Arp2/3 complex activation independent of Cdc42."J.Cell Biol.. (in press).