1999 Fiscal Year Annual Research Report
病態局所の酸素環境と好中球の代謝動態と生体防御について
Project/Area Number |
11670146
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
佐藤 英介 大阪市立大学, 医学部, 助手 (60211942)
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Keywords | 好中球 / プライミング / 活性酵素 / チロシンキナーゼ / 口腔内 |
Research Abstract |
好中球は刺激物に依存して活性酸素を産生して生体防御に重要な役割を果たす細胞である。循環血液中の好中球の活性酸素産生能は低いが、起炎物質などでプライミングされると数十倍に活性化される。これまでに、ヒト末梢血好中球の腫瘍壊死因子(TNF-α)や顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)等によるプライミングにはチロシンキナーゼの活性化と数種の蛋白質のチロシン残基のリン酸化が関与していることを見いだしてきた。srcファミリーキナーゼの阻害剤であるPP1は、本プライミングによるスーパーオキシド産生およびチロシンリン酸化を著明に抑制した。ウエスタンブロッテングと免疫沈降による解析により、ヒト末梢血好中球にはLyn,Fgr,Hck,Syk,Btkの5種のチロシンリン酸化酵素が存在し、TNF-αによってLynとSykキナーゼ活性が本リン酸化により著明に活性化されることが明かとなった。特にSykキナーゼ阻害剤であるPiceatannolにより、本プライミングによるスーパーオキシド産生およびチロシンリン酸化が抑制されることより、Sykキナーゼが関与することが明かとなった。リン酸化蛋白質として115kDa蛋白質がスーパーオキシド産生と平衡することから、本蛋白質のリン酸化がプライミングに関与する可能性が考えられた。これまで、115kDa蛋白質についてはJAK2キナーゼである可能性が考えられたが、JAK2キナーゼ阻害剤であるAG490によってプライミングは全く抑制されなかった。また、プロトオンコジーンであるc-Cblの抗体を用いた免疫沈降による解析より、115kDa蛋白質の一部はc-Cblであることが判明した。好中球様に分化したHL-60細胞を用い、TNF-αによるプライミングにおけるチロシンキナーゼの関与をさらに解析した結果、末梢血好中球と同様に一連のsrcキナーゼと115kDa蛋白質のリン酸化とスーパーオキシド産生の結果を得た。c-Cblのアンチセンスを用いた解析により、本プライミングの一部にc-Cblが関与する可能性が考えられた。また、本プライミングによるスーパーオキシド産生はPl3キナーゼの阻害剤であるワルトマニンによって抑制されるが、チロシンリン酸化は抑制されないことより、チロシンリン酸化の上流にPl3キナーゼがあることが推定された。
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[Publications] Imada, I., Sato, E.F., Miyamoto, M., Ichimori, Y., Minamiyama, Y., Konaka.: "A sensitive chemiluminescence probe 8-amoinp5-chloro-7-phenylpyrido[3,4-d]pyridazine-1,4(2H,3H)dione for analysis of reactive"Anal. Biochem.. 270・. 53-58 (1999)
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[Publications] Inoue, M., Nishikawa, M., Sato, E.F., Paku A., Kashiba, M., Takehara, Y.,: "Cross-talk of NO, superoxide and molecular oxygen, a majesty of aerobic life"Free Radical Research. 31・4. 251-260 (1999)
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[Publications] Inoue, M., Nishikawa, M., Sato, E.F., Matsuno, K., Sasaki, J.: "Synthesis of superoxide dismutase derivative that specifically accumulates in renal proximal tubule cells"Arch. Biochem. & Biophys. 368・2. 354-360 (1999)
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[Publications] Takada, Y., Sato, E.F., Nakajima, T., Hosono, M., Tsumura, M., Inoue, M.: "Granulocyte-colony stimulating factor enhances antitumor effect of hyperthermia"J. Hyperthermia.. (in press). (2000)
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[Publications] Tsuchiya, M., Maeda, K., E F, Sato., Ohnishi, Y., Shindo, M., Asada, A.,: "Propofol versus midazolam regarding their antioxidant activities"Am. J. Res. Criti. Car. Med.. (in press). (2000)
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[Publications] Goto, T., Kono, T., Ishii, M., Sato, E.F.: "Supressive effects of cyclosporin A and FK-506 on superoxide generation in human polymorphonuclear leukocytes primed by TNF-a"J. Invest. Dermatol.. (in press). (2000)
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[Publications] Utsumi, K., Takehara, Y., Inai, Y., Yabuki, M., Kanno, T., Nishikawa, M., Sato, E.F., Inoue, M.: "Understanding the Process of Aging"Marcel Dekker. 57-72 (1999)