1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仙波 憲太郎 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70206663)
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Keywords | 性決定 / 生殖腺 / 性逆転 / WT1 / SRY / 精巣 / がん |
Research Abstract |
我々はほ乳類の性決定とその病態の分子機構の研究を進めている。最近、この分子機構を制御する転写因子群が次第に明らかにされてきて、それらの蛋白質間の相互作用の解明が重要なテーマとなっている。我々は性決定とその病態に関わる二つの転写因子、すなわちSRYとWT1が相互作用する可能性を示す以下のような結果を得た。 1)WT1はin vitroおよびin vivoにおいてSRYと直接結合した。 2)WT1はSRYと協調的にSRY結合配列を持つプロモーターからの転写を活性化した。 3)ヒトの性逆転(Y染色体を持ちながら女性の形質を示す)の症例において、WT1との結合活性が減少しているSRYの変異を見いだした。 以上のことから、WT1とSRYの結合および協調的な転写の活性化は、ヒトの性決定および性逆転に関わる重要な現象であることが示唆された。 SRYは、雌のマウスに発現させると精巣を誘導することが知られている。そこで、平成12年度では、WT1と結合できないSRY変異体を単離して精巣誘導能を調べることにより、SRYとWT1の相互作用の重要性を個体レベルで検証する。 WT1をbaitとするtwo hybridスクリーニングを行った結果、WT1が種々の転写因子と結合することがわかった。平成12年度では、これらのうち、新規のものについて染色体マッピングを行うとともに全構造を決定してWT1との結合の意義を解析する。性逆転に関わる遺伝子が9p24や10q25などにマップされているので、これらの位置に新規遺伝子がマップされた場合は、性逆転の症例における変異を検討する。
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