1999 Fiscal Year Annual Research Report
胃悪性リンパ腫の前駆病変としての慢性濾胞性胃炎の病理学的検討
Project/Area Number |
11670169
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
谷澤 徹 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00227232)
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Keywords | 異悪性リンパ腫 / ヘリコバクター・ピロリ / リンパ濾胞過形成 / 慢性胃炎 / 濾胞性胃炎 |
Research Abstract |
ヘリコバクター・ピロリ感染に関連した慢性濾胞性胃炎と低悪性度胃悪性リンパ腫の共通点ならびに相違点を明らかにする目的で、本施設において1950年以降に手術的に切除された胃悪性リンパ腫・慢性胃炎・慢性胃潰瘍の症例を対象として、以下の検索を行った。 1.病理組織形態学的検索 既に検索されている、リンパ組織の二次的過形成の有無およびヘリコバクター・ピロリの有無の情報を基に、反応性リンパ濾胞周囲の浸潤リンパ球のサブセットの免疫組織化学的解析および反応性リンパ濾胞の濾胞構築の特異性の有無についての比較検討を行った。反応性リンパ濾胞周囲の浸潤リンパ球のサブセットでは、T細胞の多寡がB細胞活性化ならびにリンパ腫(B細胞性)発生に関与することが示唆された。反応性リンパ濾胞の濾胞構築では、胚中心の構成要素(マクロファージやT細胞の数)、マントル層(特に外層marginal zone)の幅がリンパ腫との鑑別や発生過程の検討に重要と考えられた。以上について今後定量的解析を行う予定である。また、一般にリンパ腫細胞の由来はマントル層外層とされているが、非リンパ腫症例においては増殖細胞は胚中心以外にはほとんど見られないことから、胚中心由来の悪性細胞がマントル層外層で増殖することが推測された。これらの結果を踏まえて抽出された病変・領域について今後遺伝子検索を行う。 2.PCR法による免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成の検索 免疫グロブリン遺伝子DNAのPCR法による解析におけるPCRの至適条件の症例による相違について検討した。古い材料を用いた場合、個々の症例によりDNA保存状況が大きく異なることから、PCRの至適条件を普遍化するのは予想されたとおり困難であった。今後さらに検討する必要がある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 馬志強: "胃粘膜のリンパ濾胞過形成における H-pylori の役割"日本病理学会誌. 88(1). 237-237 (1999)
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[Publications] 吉田朋美: "節外性リンパ腫における腫瘍細胞および腫瘍内浸潤リンパ球の免疫組織化学的解析"癌の臨床. 45. 1329-1335 (1999)
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[Publications] 谷澤徹: "Helicobacter pylori 関連濾胞性胃炎は胃悪性リンパ腫の前駆病変か?"日本病理学会誌. 89(1). (2000)
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[Publications] Ma ZQ: "Follicular gastritis associated with Helicobacter pylori"Journal of Medical and Dental Science. 47(1). (2000)