Research Abstract |
抗体の作製:ACTH受容体(MC2R)蛋白質のアミノ酸配列から15アミノ酸配列を2ヶ所を選び,合成ペプチドを作製し,KLHをキャリアー蛋白としてMBS法で,コンジュゲーションし,家兎4羽に免疫した.得られた血清はELISA法では,各々のペプチドに25600倍希釈でも良く反応している.正常の副腎2例のパラフィンブロックを陽性コントロールとして,免疫前兎血清で陰性コントロールをとり,希釈倍率の検討およびantigen retrievalの方法を検討したが,4血清中1血清は副腎皮質の細胞膜に免疫前血清と比較して,陽性と思える染色を示した.ウェスタンブロット法とペプチドによる吸収試験を行い,さらに,検討する予定である.また,ペプチドのアフィニティカラムやKLHカラムによる精製も行っている. 副腎皮質の腫瘍性病変の免疫染色による検討:副腎皮質癌10例,腺腫24例,過形成8例について,手術症例のパラフィン切片を用いてPCNA,Ki-67,p53,ras,c-myc,ACTHRを免疫組織化学的に染色し,検討した.PCNA,Ki-67は2000個以上の腫瘍細胞をカウントし,陽性率を算出したが,PCNA,Ki-67は癌では3.43-20.08,0-20.9と陽性率が高値で,腺種では 0.14-1.33,0-1.03と低く,過形成では0.19-0.7,0-0.05と腺腫よりもさらに低い傾向を示し,生物学的悪性度と増殖能の相関が明らかであった.p53は腺腫や過形成では陰性で,癌で3例のみ陽性で,p53と副腎癌の発癌との関連が考えられるが,3例のみであり,発癌には他の多数の因子の関与が考えられる.Rasについては全体に陰性であった.Mycについては,抗体9E11では,非腫瘍部に陽性で,腫瘍部は大部分陰性だったが,他の抗体9E10では,正常副腎皮質は核のみ陽性で,過形成や腺腫も核が陽性で,一部胞体も陽性だが,癌では胞体が優位に染色されている.ACTHRについては以前に作製した抗体では,癌は陽性率が低下している.今回作製した抗体については今後検討する予定である.
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