1999 Fiscal Year Annual Research Report
粘膜関連悪性リンパ腫の分子生物学的解析:免疫グロブリン遺伝子のクロナリティー並びにsomatic mutationの解析
Project/Area Number |
11670180
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
今 信一郎 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10195886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 潔 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教授 (70175272)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / MALTリンパ腫 / 遺伝子再構成 / 免疫グロブリン遺伝子 / サザンブロット / PCR |
Research Abstract |
眼科領域に発生したリンパ増殖性病変につき病理組織学的検索とサザンブロットによる免疫グロブリン遺伝子再構成の検索を行った。病理組織学的に腫瘍性増殖を明確に判定困難な症例が多く存在した。これらのうち、一部の症例においては最近提唱されている粘膜関連リンパ組織(MALT)由来の低悪性度リンパ腫(MALT-lymphoma)を疑うものも含まれていた。サザンブロットの結果、これらの多くの症例の免疫グロブリン遺伝子に再構成が認められ、B細胞のクローナルな増生が含まれていることが確認された。しかし、なかには再構成が確認できず、偽リンパ腫と言わざるを得ない症例も含まれていた。このように結膜領域におけるMALT、すなわちCALTリンパ腫と呼ぶにふさわしい症例とともに、MALTの組織学的診断基準を満たさない症例の存在があらためて確認された。これらを、CALTの一亜型とするべきか、あるいは新たな別の疾患概念が必要か今後の検討が必要と考えられた。 また、乳腺領域に発生した大型のリンパ増殖性症例を経験し、遺伝子再構成の検索を行ったところ、オリゴクローナルなB細胞の増生が含まれていることが示された。免疫グロブリン遺伝子の可変領域をPCRで増幅後、塩基配列を検討した。得られた配列の中には自己抗体とのホモロジーの非常に高いものが含まれており、胃におけるMALTリンパ腫と同様に自己免疫的な背景や、持続する抗原刺激の結果、特定のクローンが選択的に増殖することによって腫瘍化へ導かれることを示唆する結果であった。今後、さらに詳細な検討を加えることによって本態の解明に努める。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Suzuki J.,Ohguto H.,Oguri N.,Satoh M.,Kon S.,Kogawa K.,Nakagawa T.: "Clinicopathological and immunogenetical analysis of mucosa assoiated lymphoid tissue lymphomas arsing in the conjunctiva."Jpn.J.Ophthalmol. 43. 155-161 (1999)
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[Publications] Tomaru U.,Ishikura H.,Kon S.,Kanda M.,Harada H.,Yoshiki T.: "Primary lymphoma of the prostate with features of low grade B-cell lymphoma of mucosa associated lymphoid tissue:A rare cause of urinary obstruction."J.Urol. 162. 496-497 (1999)