2000 Fiscal Year Annual Research Report
粘膜関連悪性リンパ腫の分子生物学的解析:免疫グロブリン遺伝子のクロナリティー並びにsomatic mutationの解析
Project/Area Number |
11670180
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
今 信一郎 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10195886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 潔 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教授 (70175272)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / MALTリンパ腫 / 遺伝子再構成 / 免疫グロブリン遺伝子 / サザンブロット / PCR / somatic mutation |
Research Abstract |
MALTリンパ腫を疑う症例の多くには免疫グロブリン遺伝子再構成が認められ、B細胞のクローナルな増生が含まれていることが確認された。眼科領域に発生した低悪性度リンパ腫においては、8年の経過を経て再発してきた症例を経験し、過去の試料と同一パターンの免疫グロブリン遺伝子再構成を認めた。このように腫瘍性の根拠を示すことのできる症例ばかりでなく、病理組織学的に腫瘍性増殖を明確に判定困難な症例が多く存在し、依然としてモノクロナリティが確認できず偽リンパ腫と言わざるを得ない症例も含まれていた。再構成を起こした免疫グロブリン遺伝子においては、somatic mutationの存在が確認され、胃のMALTリンパ腫と同様に胚中心以降の分化段階より発生した腫瘍であることが示された。 また、乳腺領域に発生したリンパ増殖性疾患症例を経験し、遺伝子再構成の検索の結果オリゴクローナルなB細胞の増生が含まれていることが示された。このオリゴクロナリティは、病巣の複数の異なる部位において同様のパターンを示し、特定のクローンが広範に拡がっていることを示していた。さらに、全く同様の組織像を呈する病巣を眼科領域に形成し、しかも、同じパターンのオリゴクロナリティを示していた。このように、特定の組織を越えた広がりを示すにもかかわらず、当初のオリゴクロナリティが保持されている症例の存在は悪性度の判定、ホーミング機構の解析など今後に多くの課題が残されていることを示していた。 今後、さらなる検討を加え本態の解明に努める。
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[Publications] 今信一郎: "遺伝子異常からみたMALTリンパ腫"臨床消化器内科. 15(10). 1321-1328 (2000)
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[Publications] Koyama R,Hirayama Y,Nagai T,Ohta H,Kura T,Mogi Y,Kon S,Sakamaki S,Niitsu Y: "A case of diffuse large B-cell lymphoma transformed from immunoglobulin A-producing marginal zone B-cell lymphoma."Int.J.Hematol.. 72. 349-352 (2000)