1999 Fiscal Year Annual Research Report
成熟B細胞性白血病におけるIgHアイソタイプスイッチ能の診断への応用
Project/Area Number |
11670188
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
茅野 秀一 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (40169652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 仁 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (70137826)
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Keywords | B細胞性白血病 / B細胞性リンパ腫 / 免疫グロブリン / クラススイッチ / 体細胞変異 / PCR / 脱メチル化 / 転写 |
Research Abstract |
初年度では成熟B細胞性白血病であるHCL6例,HCLvariant(HCLv)3例を対象に実験を行なった. 1)免疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子変異とIgHアイソタイプ発現の関連性:各例の再構成IgH遺伝子可変域の塩基配列を決定し,体細胞突然変異の頻度とIgH発現の関連を調べた。HCL1例を除く8例でVH遺伝子体細胞変異が認められ,その頻度は多岐に亙っていた(2.9%〜18.7%)。VH遺伝子変異頻度が3.5%以下の4例ではIgM/G,IgD/Gなど複数のIgHアイソタイプが同時に発現されていたが,変異頻度が5.0%以上の5例ではIgGのみが発現されていた。以上から,HCL,HCLVのIgHアイソタイプスイッチ能はGCにおけるB細胞成熟過程に依存性と考えられた.また,Igλ鎖発現はVH遺伝子変異頻度が5.0%以上の4例に限られ,GCに置けるIg遺伝子の2次再構成の関与が示唆された. 2)アイソタイプスイッチ関連配列の脱メチル化の検討:一般に遺伝子転写制御配列は活性化状態では脱メチル化されている。CCND1,PAX5,RAG-1遺伝子プロモーター,IgH定常域エンハンサー領域配列の脱メチル化の検討をPCR増幅により行った。脱メチル化配列はHpaII処理DNAを用いた場合では増幅されない.(1)HCLで転写亢進が知られるCCND1プロモーター配列の脱メチル化はHCLの50%(3例)で,(2)B細胞成熟段階で発現量が異なるPAX5のプロモーター配列の脱メチル化はHCLの16%(1例)とHCLVの67%(2例)で,(3)Ig遺伝子再構成を制御するRAG-1遺伝子プロモーター配列の脱メチル化は,HCLの16%(1例)で示唆された.IgH定常域エンハンサーについては有意な結果を得られなかった.以上から,HCLはCCND1遺伝子の活性化により,HCLVはPAX5遺伝子の活性化によりそれぞれ特徴づけられ、HCL細胞とHCLV細胞とでは活性化状態が異なっている事が示唆された。
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