2000 Fiscal Year Annual Research Report
成熟B細胞性白血病におけるIgHアイソタイプスイッチ能の診断への応用
Project/Area Number |
11670188
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
茅野 秀一 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (40169652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 仁 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (70137826)
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Keywords | B細胞性白血病 / B細胞性リンパ腫 / 免疫グロブリン / 体細胞変異 / クラススイッチ / 転写調節 / PCR / 脱メチル化 |
Research Abstract |
免疫グロブリン(Ig)重鎖アイソタイプスイッチ(IS)はB細胞成熟の重要なイベントである。本研究では成熟B細胞性白血病(mature B-cell leukemia,MBL)診断の精度向上を目指して、Hairy cell leukemia(HCL)及びそのバリアント(HCLv)を始めとする各種成熟B細胞性白血病におけるIS能について検討した。 (1)各種MBL細胞の抗CD40抗体刺激によるIgEへのISの誘導が白血化瀘胞性リンパ腫を除く各種MBL細胞で確認された。 (2)多様なIg重鎖発現を特徴とするHCL6例,HCLv3例を対象に、IS関連遺伝子の活性を示すプロモーター配列の脱メチル化の検討を行った。HCLの50%にサイクリンD1遺伝子プロモーター配列の脱メチル化を認めたがHCLvでは脱メチル化は検出されず、HCLVの67%にPAX5遺伝子プロモーター配列の脱メチル化が認められる一方,HCLでは16%のみに認められる等HCL細胞とHCLV細胞の活性化状態の違いが示唆された。 (3)HCL9例とHCLv3例の間にIg重・軽鎖発現パターンの差は無かったが、両者ともIg重鎖VH遺伝子に生じたsomaticmutation(SM)頻度が5%以上の例ではIgG単独発現が有意に多く、HCL,HCLVのIgHアイソタイプスイッチ機構は正常B細胞と同様に、胚中心でのB細胞成熟過程に依存していると考えられた. (4)また、HCL/HCLv細胞ではλ鎖発現もVH遺伝子変異頻度5%以上の例に限られ,ISのみならず軽差発現もVH遺伝子のSM機構と関連している事が特徴的と考えられた。 (5)しかし、HCL5例/HCLv3例を対象としたIg軽鎖遺伝子配列解析では,軽鎖遺伝子SM頻度はVH遺伝子SM頻度・Ig重鎖・軽鎖発現と関連せず、HCL/HCLv細胞の軽鎖発現はDNAレベルではなく、転写ないし翻訳レベルで調節されている事が示唆された。 以上から、HCL-HCLv細胞に見られるIg発現様式の多様性は、腫瘍細胞が症例毎に様々な成熟段階にある事を反映しており、B細胞成熟過程のモデル疾患となりうるものと考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takeuchi H,Kayano H,Hirose T.: "Differences in IgE isotype switching induced by anti-CD40 monoclonal antibody and cytokines among subtypes of chronic B lymphoid leukemias."Experimental Hematology. 28(5). 543-550 (2000)
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[Publications] 竹内仁,茅野秀一.: "悪性リンパ腫の病理分類."治療学. 34(8). 814-820 (2000)
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[Publications] 茅野秀一,小山勇,島田哲也,廣瀬隆則.: "穿孔で発症した回腸T/NK細胞性リンパ腫の1例."診断病理. 17(2). 163-164 (2000)
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[Publications] Kayano H,Hirose T,Orikasa H,Morinaga S.: "Invasive aspergillosis of the heart."British Journal of Haematology. 107(3). 467 (1999)
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[Publications] 竹内仁,茅野秀一.: "炎症と悪性リンパ腫の境界領域"医学のあゆみ. 188(10). 887-891 (1999)
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[Publications] 竹内仁,茅野秀一,片山勲.: "日本人に特異的な成熟B細胞性白血病は存在するか?"病理と臨床【日本人の病気と病理学】. 17巻臨時増刊. 256 (1999)