1999 Fiscal Year Annual Research Report
小円形細胞肉腫の発生、分化に関与する遺伝子の解析と病理鑑別診断への応用
Project/Area Number |
11670199
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
野島 孝之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50142732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶋 和郎 北海道大学, 医学部, 教授 (50010377)
竹上 勉 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教授 (10113490)
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Keywords | 小円形細胞肉腫 / 悪性軟部腫瘍 / 変異遺伝子 / PNET / ユーイング肉腫 / 滑膜肉腫 / 骨肉腫 / 組織診断 |
Research Abstract |
小円形細胞肉腫は,形態学的に小円形細胞が主体をなす腫瘍で,鑑別診断学的に便宜上まとめられた腫瘍群を指す。骨や軟部に発生する小円形細胞肉腫は組織発生母地が多彩であり,病理診断に難渋することが多い。特にユーイング肉腫,末梢型神経外胚葉性腫瘍(PNET),悪性リンパ腫は化学療法や放射線照射の感受性が高く,一方,小細胞性骨肉腫は積極的な術前化学療法が要求される。患者の治療,予後の面から,正確で迅速な病理診断が望まれる。骨軟部腫瘍は病理診断が難しいと先入観を持たれていたが,近年,免疫組織化学の発達,特異的な染色体異常や変異遺伝子の存在が解明され,これらの鑑別診断は比較的容易になってきている。PNETを含むユーイング肉腫群13症例を凍結材料を用い,変異遺伝子の解析を行った。13例全例にEWS遺伝子とFli1遺伝子間の相互転座に伴う融合変異遺伝子の形成が見られた。切断部の解析ではEWS遺伝子のexon7,10,Fli1遺伝子のexon5,6,8,9と種々の部位で変異遺伝子を形成し,6型に分けられた。13例中7例でゲノムDNAの塩基配列を検討すると4例に切断点近傍両側に5'-AGAAAARDRR-3'の配列を認め,また,大部分の症例に切断点近傍にAlu配列やeukaryotic topoisomerase II cleavage siteの存在を認めた。これらの多彩で,多型を示す変化はユーイング肉腫群に特異的で,腫瘍の発癌機構に関与していると思われた。今後,他の小円形細胞肉腫の特異的な変異遺伝子を解析する事により,病理診断や予後判定,発癌機構の解明が期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 野島孝之,他: "小円形細胞肉腫の鑑別診断,ユーイング肉腫を中心として"病理と臨床. 17. 1066-1070 (1999)
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[Publications] Hiraga H,et al.: "Histological and molecular evidence of synovial sarcome of bone"J Bone Joint Surg. 81A. 558-563 (1999)
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[Publications] Obata K,et al.: "Molecularcharacterization of the genetic break point junction in at(11;22)translocation in Ewing sarcoma"Genes Chromosomes Cancer. 25. 6-15 (1999)
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[Publications] Suzuki T,et al.: "Specific expression of interleukin-1β in temporomandibular joints with internal derangement"Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 88. 413-417 (1999)
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[Publications] Park,YK,et al.: "Primary alveolar soft part sarcoma of bone"Histopathology. 35. 411-417 (1999)
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[Publications] 平賀博明,他: "軟部腫瘍の病理診断,円滑な病理診断のために"骨関節靭帯. 12. 1431-1435 (1999)