2000 Fiscal Year Annual Research Report
小円形細胞肉腫の発生、分化に関与する遺伝子の解析と病理鑑別診断への応用
Project/Area Number |
11670199
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
野島 孝之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50142732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶋 和郎 北海道大学, 医学部, 教授 (50010377)
竹上 勉 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (10113490)
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Keywords | 小円形細胞肉腫 / 悪性軟部腫瘍 / 変異遺伝子 / c-kit / 横紋筋肉腫 / 神経芽腫 / 消化管間質腫瘍 / 組織診断 |
Research Abstract |
小円形細胞肉腫は小円形細胞が主体をなす腫瘍で,発生母地が多彩であり,病理診断に難渋することが多い。c-kitはチロシンキナーゼ型受容体で,未熟な造血細胞,カハール介在細胞などの分化,増殖を制御し,小円形細胞像を伴う消化管間質腫瘍(GIST)に発現をみる。GISTではc-kitのexon 11に変異が報告されているが,c-kitの膜貫通前後部分であるexon9〜11のmRNAの変化を横紋筋肉腫,神経芽腫,神経鞘性腫瘍,平滑筋肉腫などで比較検討した。 GISTでは検索した26例全例が免疫染色にてc-kit陽性を示し,24例にexon 9〜11の変異を認め,20例にexon 11の欠失や挿入がみられた.点突然変異は散発性広範囲に,挿入はexon 9にAla-Tyr(2例),exon 11にThr(5例)としてみられ,欠失はexon 11のcodon 550〜560間に集中していた(13例). 免疫染色でc-kitの発現をみない横紋筋肉腫8例中7例,平滑筋性腫瘍9例中7例,神経鞘性腫瘍9例全例,神経芽腫1例にexon 9〜11にGISTと同様の変異を認めた.GISTに特異的なexon 11の欠失や挿入は,横紋筋肉腫5例,平滑筋性腫瘍3例,神経鞘性腫瘍5例,神経芽腫1例に検出された。GISTと同様にこれらの腫瘍にexon 9〜11の変異をみたことは,非上皮性腫瘍の発癌機構に共通した変化の存在を示唆している。検出された遺伝子変異のすべてはframeshiftを伴わないもので,変異蛋白が形成され,リガンド非依存性にリン酸化を促進すると思われる.しかし,GIST症例ではc-kitの産物蛋白の発現をみるが,非GIST症例では観察されない。リガンド非依存性のリン酸化の有無を含めたc-kitの発現と機能に関する検討が今後必要であり,腫瘍の発生,分化,さらに病理診断に応用されると思われる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tonami H, et al.: "Chordoid glioma of the third Ventricle. CT and MRI Findings"J Comput Assist Tomogr. 24・2. 336-338 (2000)
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[Publications] Suzuki T, et al.: "Analysis of 70Kd heat shock protein expression in patients with internal derangement of the temporomandibular joint"Int J Oral Maxillofac Surg. 29. 301-304 (2000)
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[Publications] 野島孝之: "横紋筋肉腫とPAX-FKHR融合変異遺伝子"整形 災害外科. 43・2. 100-101 (2000)
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[Publications] 今村友夏: "小細胞癌との鑑別が困難であった甲状腺髄様癌の1例"日本臨床細胞学会雑誌. 39・6. 497-501 (2000)