1999 Fiscal Year Annual Research Report
リソゾーム膜蛋白の癌治療への応用のための基礎研究-リソゾーム膜蛋白のヒト腫瘍組織における発現を明らかにする-
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11670200
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
古田 耕 産業医科大学, 産業保健学部, 助教授 (50312161)
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Keywords | LAMP / colorectal cancer |
Research Abstract |
平成11年度、私達は、リソゾーム膜蛋白(LAMP-1およびLAMP-2)の発現を9例のヒト大腸癌および16例の炎症性腸疾患を含むcontrol症例(diverticulitis,ulcerative colitis,Crohn's disease)を用いて検討した。方法としては、CCD cameraを装備した光学顕微鏡を用いて、免疫染色の定量的なcomputerによる画像解析を行った。その結果、リソゾーム膜蛋白は、大腸腺腫部と癌部で有意の差は認められないものの、腫瘍部に強度に発現していることがわかった。また、炎症性腸疾患の非炎症部や癌症例の非腫瘍部においては、リソゾーム膜蛋白の発現に差が認められないことを確認した。後者の比較において大腸粘膜lower crypt epitheliumの増殖帯においてさえリソゾーム膜蛋白の発現に差は認められなかった。以上より、私達は、今回、検索に用いたリソゾーム膜蛋白(LAMP-1およびLAMP-2)と細胞増殖には、直接の関連はないのではないかと考えるにいたった。従来の考え方とは、異なるおもしろい結果を得たので本研究助成の残り2年間を用いて、リソゾーム膜蛋白がいかなる機構により腫瘍の進展に関与しているのかを明らかにしたい。
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