2001 Fiscal Year Annual Research Report
リソゾーム膜蛋白の癌治療への応用のための基礎研究-リソゾーム膜蛋白のヒト腫瘍組織における発現を明らかにする-
Project/Area Number |
11670200
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Research Institution | National Cancer Center |
Principal Investigator |
古田 耕 国立がんセンター, 臨床検査部, 医長 (50312161)
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Keywords | gastric canxer / colorectal cancer / pancreas cancer / LAMP |
Research Abstract |
リソゾーム膜蛋白(lysosomal-assoclated membrane protein : LAMP)は、その名の通りリソゾーム膜に存在する蛋白であり、LAMP-1とLAMP-2がある.しかしながら、その機能はいまだ明確にはされていない。そのため、LAMP-1,およびLAMP-2ともにリソゾームのマーカーとして知られているのみである。私達は、LAMP分子をvaccineとして癌治療にも使えるのではないかという着想をもった.そこで、LAMP-1、LAMP-2およびLAMP-2のisoformも含めたLAMP分子のヒト非腫瘍および腫瘍組織における分布を調べることを計画し、LAMPが、とくにヒト大腸癌、胃癌、膵癌に、どのように、また、どれくらい発現しているかを蛋白および遺伝子レベルで明らかにした。まず、ヒト大腸癌に対して、LAMP-1およびLAMP-2の抗体を用いた免疫染色を行い、その発現を、computerと連動し、CCD camera装備した光学顕微鏡を用いて、定量的画僚解析を行った。さらに、ヒト大腸癌より、RNAの抽出を行い、別に作成しLAMPのprobeを用いて、Northern blotをおこなった。その結果、LAMPは、蛋白レベルでもRNAレベルでも、癌部において非癌部に対して有意に強く発現していることを明らかにしえた。さらに、非腫瘍部の大腸粘膜lower crypt epitheliumの増殖帯においては、LAMPの発現が亢進していないことを見い出した。以上より、LAMPは、腫瘍の進展となんらかの関係を有するが、その発現は、増殖帯と無関係なことより、細胞増殖とはことなる機構によって制御されいるものと推測される。次に、LAMP-1およびLAMP-2の癌原発巣および転移巣における蛋白レベルでの発現を、5例のヒト胃癌、7例のヒト大腸癌、および7例のヒト膵癌を用いて同様の方法で検討した。検索しえた異なる3種類の癌において、LAMPは、原発巣および転移巣にかかわらず、癌部において非癌部に対して有意に強く発現していることを明らかにしえた。しかし、その発現の程度において原発巣と転移巣において明らかな差は認められなかった。さらに、LAMPのRNAレベルでの発現を確認するために、若干例のヒト胃癌、ヒト大腸癌、およびヒト膵癌の新鮮凍結標本をいて、Northem Blotを行った。その結果、LAMPは、RNAレベルでも癌部において非癌部に対して強く発現していことを明らかにしえた。ただし、このRNAレベルの検索は、転移巣よりの新鮮凍結標本が入手できなかったので、原発巣でのみ行った。最後に、腫瘍組織より抽出したRNAの定量的解析を目的として、定量的RT-PCR法のprotocolの開発を行った。今後は、本研究を基礎として、LAMPの癌治療への応用を目指す研究を引き続き行うだけでなく、LAMPが細胞増殖以外のいかなる機構により腫瘍の進展に、ひいては転移に関与しているのかを明らかにする研究をも行っいくつもりである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fujita, H: "Evidence for distinct membrane traffic pathways to melanosomes and lysosomes in melanocytes."J Investig Dermatol Symp Proc. 6・1. 19-24 (2001)
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[Publications] Furuta, K: "Expression of Lysosome-Associated Membrane Proteins in Human Colorecta Neoplasms and Inflammatory Diseases."Am J Pathol. 159・2. 449-455 (2001)
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[Publications] Harada, M: "Role of ATP7B in Biliary Copper Excretion in a Human Hepatoma Cell Line and Normal Rat Hepatocytes."Gastroenterology. 118・5. 921-928 (2000)
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[Publications] Harada, M: "Copper does not alter the intracellular distribution of ATP7B, a copper-transporting ATPase."Biochem Biophys Res Commun. 275・3. 871-876 (2000)
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[Publications] Harada, M: "A Mutation of the Wilson Disease Protein, ATP7B, Is Degraded in the Proteasomes and Forms Protein Aggregates."Gastroenterology. 120・4. 967-974 (2001)
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[Publications] Tsuruta, Y: "Expression of the lysosome-associated membrane proteins in myopathies with rimmed vacuoles."Acta Neuropathol (Ber). 101・6. 579-584 (2001)