2000 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞死におけるグリア細胞関与の分子病理機構の解明
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11670201
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小森 隆司 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主任研究員 (90205526)
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Keywords | 神経細胞変性 / グリア細胞 / タウオパチー / 進行性核上性麻痺 / 大脳基底核変性症 |
Research Abstract |
進行性核上性麻痺(PSP)および大脳基底核変性症(CBD)は、近年類縁のタウオパチーと考えられているが、一般的には臨床病理像は大きく異なる。両疾患の海馬におけるタウ病変の相違を明らかとするために、免疫組織化学的検討を行った。[対象と方法]対象は、海馬にタウ病変を認め、かつ老人斑を欠いた臨床病理学的に典型的なPSP6例、CBD4例である。対照として加齢老人脳3例を用いた。ホルマリン固定パラフィン包埋切片に一般染色およびGallyas染色と、以下の一次抗体を用いてLSAB法により免疫組織化学染色を行った。PHF-tau(AT-8)、synaptophysin、alpha-synuclein、ubiquitin、MAP-2。[結果]PSPにおいては、1)内嗅領と海馬CA1錐体細胞層に少量から中等量の神経原線維変化とthreadsを認めた。2)2例で海馬白板に少量のcoiled bodyとthreadsを認めた。3)歯状回顆粒細胞層および多型細胞層にごく少数のtau陽性細胞を認めた。4)以上の所見は対照例の所見とほぼ合致していた。CBDにおいては、1)内嗅領に少量の、CA1錐体細胞層に多量のthreadsを認め、さらに両部位で少量から中等量のpretangleを認めた。2)海馬白板と網状層に多量のcoiled bodyとthreadsを認めた。3)顆粒細胞層および多型細胞層に中等量のtau陽性細胞とthreadsを認めた。4)歯状回内側分子層に中等量のtau陽性で一部ubiquitin陽性のgrain様顆粒を認めた。この領域にはthreadsは少なかった。5)顆粒細胞層および多型細胞層のMAP-2染色性が高度に低下していた。6)両疾患においてsynaptophysinとalpha-synucleinの染色態度は対照例と差がなかった。[考案]PSPの海馬においては、タウ病変は加齢変化に類似していると考えられたが、CBDの海馬においては、グリア病変を含めタウの沈着様式が加齢変化とは異なり、CBDに特徴的である可能性が考えられた。
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