2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞死におけるグリア細胞関与の分子病理機構の解明
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11670201
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
小森 隆司 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (90205526)
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Keywords | 多系統萎縮症 / オリゴデンドロサイト / 14-3-3 / 封入体 / 細胞死 |
Research Abstract |
「目的」多系統萎縮症(MSA)は主に基底核および小脳を系統的に侵す神経変性疾患である。現在のところMSAの原因は全く解明されていないが、MSAには疾患特異的なglial cytoplasmic inclusions(GCI)と呼ばれるオリゴデンドロサイトの封入体が形成されることが分かっている。GCIの主要構成タンパクは神経細胞終末に局在するα-synucleinであり、多くの種に存在していることが知られているが、その生理機能は明確ではない。α-synucleinはパーキンソン病に出現するレビー小体の構成タンパクであることも知られている。近年、レビー小体にα-synucleinとホモロジーの高いシャペロンである14-3-3が共存することが免疫組織学的手法により明らかになった。そこで我々は同様に、GCIに14-3-3が共存する可能性を検証した。「対象および方法」多系統萎縮症の6剖検脳(平均64.8歳)を用いた。大脳基底核、小脳を含むホルマリン固定パラフィン包埋切片を脱パラフィンし、一次抗体に抗α-synuclein抗体と抗14-3-3抗体を用いてABC法により免疫組織化学を行った。「結果」免疫二重染色において14-3-3とα-synucleinの共存が認められた。14-3-3陽性GCIは、0.095mm2当たり10から25個存在し、α-synuclein陽性のGCIに対し40から90%の陽性率であった。14-3-3標識率と神経組織の障害スコアーの間には負の相関が認められた。「考案」GCIにおいても14-3-3が共存していることが初めて確認された。14-3-3がα-synucleinの封入体内凝集に関与している可能性が示唆された。
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