1999 Fiscal Year Annual Research Report
好中球エラスターゼ産生血管透過性亢進因子の同定とその作用機序に関する研究
Project/Area Number |
11670219
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
今村 隆寿 熊本大学, 医学研究科, 助教授 (20176499)
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Keywords | 好中球 / エラスターゼ / 血管透過性亢進 / キニノーゲン / ブラディキニン / B2-リセプター |
Research Abstract |
好中球は炎症の主要な担当細胞であり、炎症の様々な現象と深く関わっている。好中球依存性の血管透過性亢進(VPE)もその一つであるが、その機序は未だ解明されていない。そこで、好中球の重要なライソゾーム酵素であり炎症刺激で放出されるエラスターゼに注目し血管透過性亢進の分子機構を調べた。精製したヒト好中球エラスターゼを血漿とインキュベートすると、0.3μMからVPE活性が産生され、酸化してエラスターゼの内因性インヒビターであるα1-プロテアーゼインヒビターを失活させた血漿からは約3倍の活性が産生された。しかし、キニノーゲン欠損血漿からはVPE活性は産生されなかったので、エラスターゼは高分子キニンノーゲン(HMWK)からVPE活性を産生していると推定された。それで、HMWKとエラスターゼをインキュベートすると3nMからVPE活性が産生されたので、これをペプチを分離・精製してアミノ酸配列を決定した。このペプチド(E-キニン)はSLMKRPPGFSPFRSSRIで強力なVPEペブチドであるブラディキニン(BK)配列RPPGFSPFRを含んでいた。合成したE-キニンはBKに匹敵するVPE活性を持つもののBKの有する平滑筋収縮作用はなかった。 ところが、E-キニンのVPE活性はBK-B2-リセプター拮抗剤で抑制されたことから、in vivoでカルボキシ末端側のSSRIが切断されてVPE活性を発揮することが示唆された。以上の結果から、好中球はエラスターゼによってキニノーゲンからE-キニンを産生し、これがBK-B2-リセプターを介してVPEを誘導することが明らかとなった。
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[Publications] Kiyoshi Hosotaki et al.: "Activation of protein C by arginine-specific cysteine proteinases(gingipains-R)from Porphyromonas gingivalis."Biol.Chem.. 380. 75-80 (1999)
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[Publications] 今村 隆寿: "総説 炎症と血液凝固"血液アゴラ. 6. 9-20 (1999)
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[Publications] 今村 隆寿: "血漿プレカリクレインの新しい活性化機構"血管と内皮. 10. 19-31 (2000)
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[Publications] Takahisa Imamura et al.: "Comparison of pathogenic properties between two types of arginine-specific cysteine proteinases(gingipains R)from Porphyromonas gingivalis."Micobial Pathogenesis.. (in press). (2000)
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[Publications] Takahisa Imamura et al.: "Activation of human prothrombin by arginine-specific cysteine proteinases(gingipains R)from Porphyromonas gingivalis."J.Biol.Chem.. (in press). (2000)
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[Publications] Takahisa Imamura et al.: "Activation of blood coagulation factor IX by arginine-specific cysteine proteinases(gingipains R)from Porphyromonas gingivalis."Biochem.J.. (in press). (2000)