2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670226
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 栄二 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (30232177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 保典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00115221)
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Keywords | 脳血管 / 血液脳関門 / 血液網膜関門 / VEGF |
Research Abstract |
中枢神経系の一部である網膜組織には血液脳関門に相当する血液網膜関門(blood-retinal barrier、以下BRB)が存在し、網膜神経細胞が正常に機能できるための微小環境を維持する。糖尿病網膜症は、BRB破綻と血管新生が病態の本質となる。そこで我々は、糖尿病網膜症病変の解析を通じ、中枢神経系の血管におけるbarrier機能誘導の分子機構解明を試みた。具体的には、ヒト糖尿病患者眼より切除された糖尿病網膜症増殖期病変22検体を検索対象とした。VEGFおよびVEGF受容体の発現をRT-PCRにて検索したところ、22検体全例においてisoform VEGF_<121>、22例中7例においてisoform VEGF_<165>の発現が認められ、それらの産生細胞は網膜由来のグリア細胞であった。受容体は、VEGFR-1が22検体中12検体、VEGFR-2が22検体中14検体、neuropilin-1が22検体中14検体(VEGFR-2発現検体と一致)において発現が確認された。そして、各々の検体における血管新生の程度として血管密度を測定し、VEGFおよびVEGF受容体の発現と血管新生の程度を比較した。その結果、VEGFR-2とneuropilin-1の発現と血管新生の程度が有意に相関し、さらにVEGF_<165>を発現する検体で血管新生の程度が高い傾向が見られた。Neuropilin-1はVEGFR-2を介したVEGF_<165>の生理活性を増強するVEGF_<165>特異的受容体であることから、上記の解析結果は、BRBの破綻を伴う糖尿病網膜症病変の形成にはVEGFR-2を介したVEGF_<165>の作用が重要であることを示唆している。ウズラ胎児脳に対する我々のこれまでの検索結果と合わせると、中枢神経系血管におけるbarrier機能誘導過程にはisoform発現様式を通じVEGFが関与する可能性が示された。
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Research Products
(1 results)