1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670230
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (20227408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 信行 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50150339)
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Keywords | 乳腺 / c-kit レセプター・チロシンキナーゼ / stem cell factor / 発がん |
Research Abstract |
c-kitがん原遺伝子がコードするレセプター・チロシンキナーゼ(KIT)はマスト細胞に強く発現し、そのリガンドであるstem cell factor(SCF)はマスト細胞の増殖因子である。KITからの異常な増殖シグナルはマスト細胞の腫瘍化に関与する。一方、KITはマスト細胞ばかりでなくメラノサイトや乳腺上皮細胞にも強く発現するが、マスト細胞の場合と異なりメラノサイトや乳腺上皮細胞では細胞が腫瘍化するとKITの発現が低下あるいは消失する。最近、KITの発現が消失したメラノーマの培養細胞株にKITを発現させるとその細胞はSCFの刺激によりアポトーシスに陥ることがわかったが、乳腺上皮細胞におけるSCF/KITシステムの生理作用ならびに乳がんにおけるKITの発現低下の生物学的意義は明らかにされていない。そこで、KITの発現が消失したヒトの乳がんMDA-MB-231細胞株にc-kit遺伝子を導入し、KITを過剰に発現するMDA-MB-231細胞のSCFに対する反応をしらべた。KITを過剰に発現するMDA-MB-231細胞ではメラノーマの場合と異なり、SCFに対して増殖するようになった。また、ヌードマウスに細胞を移植して骨転移率をしらべるとKITを過剰に発現するMDA-MB-231細胞の骨転移率は親細胞を移植した場合に比べて有意に高かった。次に、KITの機能を喪失するミュータントマウス(W/W^vマウス)と正常(+/+)マウスにおける実験的乳がんの発生率をしらべると、予備的な結果ではあるが+/+マウスの方がW/W^vマウスよりもその発生率は高った。乳腺上皮ではKITを介したシグナル伝達は細胞増殖として作用し、乳腺上皮細胞で細胞が腫瘍化するとKITの発現が低下あるいは消失する生物学的意義はメラノーマの場合と異なると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsujimura T.et al: "Activating mutation in the catalytic domain of c-kit elicits hematopoietic transformation by receptor self-association not at the ligand-induced dimerization site"Blood. 93. 1319-1329 (1999)
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[Publications] Matsusaka S.et al: "Role of c-kit receptor tyrosine kinase in development of oval cells in the rat 2-acetylaminofluorene/partial hepatectomy model"Hepatology. 29. 670-676 (1999)