1999 Fiscal Year Annual Research Report
アリールハイドロカーボン受容体と造血幹細胞のシグナル・クロストークに関する研究
Project/Area Number |
11670234
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
井上 達 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 部長 (50100110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 幸夫 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 主任研究官 (90170274)
平林 容子 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 主任研究官 (30291115)
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Keywords | アリールハイドロカーボン受容体 / 造血幹細胞 / ダイオキシン |
Research Abstract |
アリールハイドロカーボン受容体(AhR)を介するシグナルが、造血並びに造血前駆細胞に与える影響を当初の計画に沿って進めた。 1)AhR遺伝子欠失マウスの交配・維持;AhR遺伝子欠失マウスをすすめた。樹立時129とC57BL/6のF1由来のものを、C57BL/6に戻し交配を開始し、5代に達した。一部は、次項2)の実験に利用を開始した。 2)AhRを介するシグナルの造血幹細胞に与える影響に関する解析;C57BL/6マウスはダイオキシンによってRustarらの報告と一致して骨髄細胞並びに骨髄造血幹細胞の一過性の激減と、その後のovershoot、ならびに、回復過程を示した。回復過程におけるoscillationalな変化は放射線などでも観察されるものでダイオキシンでは新規の観察である。他方DBA/2マウスにおけるBenzene暴露の不応性に着目してAhRの野生型および欠失マウスにBenzeneの暴露を行った。その結果、ホモ欠失マウスでは見られない種々の血球の減少が、野生型で観察された。CFU-GMコロニー生成率についても同様であったので、これがAhRを介した細胞周期抑制作用であることが示唆された。こうした細胞周期抑制作用は、RbがAhRのプロモータ領域に結合域を持つことが分かっているので、これに関連した検索を進めることとした。 3)造血細胞の増殖・分化系を用いた解析;本申請者らが開発したヒトIL-3受容体導入骨髄細胞由来前B細胞系は造血の増殖分化制御系としてヒトIL-3における自己増殖、またIL-7による分化型増殖を示すので、これを用いてダイオキシンの影響を観察した。当該B細胞コロニー形成におけるダイオキシンの影響は、細胞分化の抑制に傾き、自己増殖性の未分化型コロニーの比率を増す方向で作用した。
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[Publications] Yoshida K.: "Calorie restriction and spontaneous hepatic tumors in C3H/He mice"J.Nutrition,Health and Aging. 3. 121-126 (1999)
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[Publications] Saga Y.: "MesP1 is expressed in the heart precursor cells and required for the formation of a single heart tube"Development. 126(15). 3437-3447 (1999)
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[Publications] Kurata H.: "Recombinant adenovirus vectors for cytokine gene therapy in mice"Allergy Clin Immunol. 103. 471-484 (1999)
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[Publications] Inoue T.: "Chemicals potent to have hormone-like actions and their possible endocrine disruptions"Environ.Mutagen Res.. 21. 225-266 (1999)
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[Publications] 井上達: "内分泌攪乱化学物質研究とその試験法"静岡実験動物研究会会報. 26. 9-15 (1999)